海外情勢

旅行需要“蒸発”で苦境の航空は「貨物」に活路 需要旺盛で運賃高騰 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大で旅行需要が蒸発する中、航空業界が貨物輸送で生き残りを懸けている。現在、感染拡大に伴う外出自粛などを背景に輸送需要が旺盛に推移している半面、減便で貨物スペースが絞られ、運賃は高騰している。業界はこうした状況を好機と捉え、貨物事業を新たな収益源に育て上げようと対策を急いでいる。

 年末商戦も追い風

 通常、世界の航空貨物は約60%が旅客機の貨物室に載せて輸送される。だが、新型コロナの影響で旅客機の多くが運航停止に追い込まれ、貨物スペースの大幅な縮小から航空運賃が急騰している。例えば、香港-北米路線の運賃は1月上旬から約70%上昇した。

 ここに旺盛な輸送需要が加わり、運賃の高騰にさらに拍車が掛かっている。世界的に在宅勤務へのシフトが進んだ影響から、現在はマスクや手袋に代わり、半導体やパソコン部品の輸送需要が増加。また、外食を控える傾向が強まっていることから、生鮮食品の輸送も増えている。将来的にワクチンが実現すれば、徹底した温度管理の下でスピーディーに輸送できる航空便が利用される見通しだ。

 さらに、世界的な外出自粛でネット通販の利用者が増えており、年末にはホリデーセールも控えていることから、今後も需要は旺盛に推移するとアナリストはみる。

 ソウル拠点のシンヨン証券の航空アナリスト、オム・キュンア氏は「航空貨物は少なくとも年内は業界にとって明るい話題になりそうだ。国境が封鎖されても、人々が買い物をやめることはないためだ。今後も貨物スペースの不足が予想され、現在と同様の傾向が続く可能性が高い」と指摘した。

 こうした中、一部の企業は旺盛な需要を取り込もうと、貨物輸送事業の強化に乗り出している。米国ではユナイテッド航空が8月、貨物専用便の運航が5000便に達したと発表。同社の4~6月期の貨物収入は前年同期比36%以上増加し、4億200万ドル(約420億円)になった。

 一方、アメリカン航空は35年ぶりに貨物専用機の運航を再開。9月には中南米や欧州、アジアの32都市へ1000便以上を運航する計画としており、ボーイング777型機や787型機を中心としたワイドボディー機で対応する方針だ。

 アジアではシンガポール航空系の格安航空会社(LCC)であるスクートが先月、旅客型のエアバスA320型機から座席を外し、より多くの貨物スペースを確保した。韓国の大韓航空とアシアナ航空は家電製品の需要増に対応し、ハイテク部品の輸送を増やしたことから4~6月期に黒字転換を果たした。大韓航空は旅客機の貨物機への改修も実施している。

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