大学発 日本 人と技術

日本を支える研究活動と技術開発 (1/2ページ)

 アルツハイマー型認知症 新たな治療薬開発に期待

 ≪東京理科大学≫

 東京理科大学薬学部薬学科の斎藤顕宜教授らの研究グループは、オキシトシンがアルツハイマー型認知症に深く関与するアミロイドベータ(Aβ)による海馬ニューロンの神経活性障害を改善することを明らかにした。ペプチドホルモンであるオキシトシンが、動物の認知機能や学習にも関わることに着目し、Aβにより誘発される認知機能障害とオキシトシンの関係性について電気生理学的な手法を用いて調べた結果、Aβによって誘発される、海馬ニューロンの神経活性による障害をオキシトシンが回復させることが判明した。本研究は、オキシトシンがアルツハイマー型認知症の治療薬候補ターゲットとなることを示唆した世界初の報告。新しい作用機序による認知症治療薬を創出することにつながることが期待されている。

 ポリプロピレン繊維を色づけする染料開発

 ≪金沢工業大学≫

 金沢工業大学は、福井大学と有本化学工業と連携し、ポリプロピレン繊維染色用染料の開発に成功した。ポリプロピレン樹脂は非常に廉価で、この樹脂を使用したポリプロピレン繊維は軽量で速乾性があり、耐薬品性、耐擦過性、耐屈曲性、帯電防止性など優れた特性を持つ。1960年代の出現当時は「夢の繊維」と称され世界中で話題になったものの、染色が困難などの理由から衣料品としての用途は広がらなかった。今回の研究開発成果によって、超臨界流体染色でも十分な堅牢(けんろう)度を持ったポリプロピレン繊維用染料の開発に成功。染料は赤、黄、青の三原色がそろっており、この技術によってポリプロピレン繊維をさまざまな色に染色することが可能となった。衣料分野(アパレル業界、スポーツ衣料)など、これまで使用されてこなかった分野への展開が期待される。

 ボルトの緩みを低コストで検知可能に

 ≪芝浦工業大学≫

 工学部機械機能工学科の細矢直基教授は、英エジンバラ大学などのグループとの共同研究で、ボルトの緩み(軸力)を低コストで定量評価できる手法を開発した。人には聞こえない超音波レベルの振動を計測し、ボルト先端部の周波数と軸力の相関を明らかにすることで、ボルトの緩みを検出するもの。ボルトが締結された対象物を叩いた時の、ボルト先端部の固有振動数の変化を軸力ごとに評価した結果、軸力の減少に伴って振動数が減少することが分かり、ボルト先端部の固有振動数と軸力との間には明確な相関が存在することが確認された。この技術は点検者の技量や熟練度に依存せずプロセスも簡便なため、測定を低コスト化することができる。ネジの緩みを検知するための機械検査などへ、導入が可能だ。

 世界最薄級のアルミ製テーブルで最優秀賞

 ≪工学院大学≫

 工学院大学の鈴木敏彦教授(建築学部建築学科)は、最薄部分がわずか2ミリメートルのアルミ製テーブル「ソリッドハニカムテーブル」を開発し、製品開発プロジェクト「Wemake」で最優秀賞を受賞した。天板の縁が2ミリメートル、中央部が12ミリメートルと大変薄い仕様ながら、軽くて丈夫。天板の製造方法を工夫して実現した。新製法では、ソリッド材(一枚板状のアルミの固まり)から一体を削り出すため、接着の手間が省け、形状も自由だ。開発は、国の研究機関からの助成を元にスタート。JSTイノベーションジャパン大学見本市2017で発表するとともに工学院大学で意匠登録し、今年7月に開催された製品開発プロジェクト「Wemake」で最優秀賞を受賞したことから、同テーブルの製品化の道筋がついた。

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