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9月日銀短観、設備投資計画が10年ぶりマイナスに

 9月の日銀短観は代表的な指標である大企業製造業の景況感が改善されたものの、水準は低く、回復のペースは緩い。設備投資計画は9月調査として10年ぶりにマイナスとなるなど、企業は新型コロナウイルス感染症に対し慎重な姿勢を崩していない。企業の生産活動が縮小すれば一段の景気悪化は避けられず、政府はさらなる経済対策を求められる。

 大企業製造業で景況感の改善が目立ったのは、経済活動の再開で輸出が堅調な自動車や、それに関連した素材産業だ。石油化学工業協会の和賀昌之会長(三菱ケミカル社長)は「数字的には緩やかな回復でV字回復ではないが、自動車関連の(需要)回復に期待している」と指摘する。

 また“巣ごもり”需要などで食料品などの景況感も改善。大企業非製造業では、経済活動の再開などもあり、小売りなどで景況感が上向いた。

 中小企業の景況感も全産業でマイナス31と、前回6月調査から2ポイント改善した。だが、新型コロナ感染拡大の影響が続く中で依然として低い水準が続く。東京都内のある運送会社の社長は、需要減少に加えて「(昨年10月の)消費税増税の影響も大きい」と、経営環境の厳しさを訴える。

 さらに、先行きの景況感が悪化する懸念もくすぶる。今年度の全規模全産業の設備投資計画はマイナス2.7%となった。マイナスはリーマン・ショックの影響が残る10年9月調査(マイナス1.0%)以来となる。

 9月短観の調査時期は、3月決算企業にとっては上半期末にあたり、企業が投資計画を大きく修正することは珍しいが、今回は1.9%も下方修正された。大和総研の山口茜エコノミストは「感染拡大の長期化が予想される中、企業の設備投資に対する慎重姿勢が強まった」と指摘する。

 設備投資が縮小すれば生産や雇用にも影響が及ぶ。設備投資の先行指標とされる工作機械だが、日本工作機械工業会の飯村幸生会長は「本格的な回復までにはあと2、3年は覚悟しないといけない」と厳しい見通しを示す。

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