国内

GoTo東京追加、インバウンド脱却にもがく浅草

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に1日、ようやく東京が追加されたことで、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた観光地は人出の回復に期待をかける。ただ、インバウンド(訪日外国人客)頼みが前提で起業したり、業態を転換したりした店も多く、国内の客を呼び戻すのは多難の道だ。国内有数の観光地・浅草では、若者集客に向けた取り組みも始まった。(橘川玲奈、荒船清太)

 1日、東京・浅草の仲見世通りは多くの人出が見られた。だが、雷門の近くの土産物店「福光屋」は静かだった。店員の女性(55)は「日本人はお土産なんて買わないでしょう」とため息をつく。主力の中国人観光客は1月後半から減り、2月末には他国からの客足も激減。苦肉の策として、店先に日本人向けのご当地キーホルダーを出し始めたという。

 影響は老舗にも及ぶ。浅草観光連盟会長の冨士滋美さん(72)は135年以上続く仲見世通りのあられ店「評判堂」を7月に閉めた。冨士さんは「職人が少なくなっていたので、そろそろ潮時と思っていたが、コロナの影響で早まった」と打ち明ける。

 減ったのは外国人だけではない。スマートフォンアプリなどを通じて得られるGPS(衛星利用測位システム)の位置情報などを解析する「アグープ」(東京)の人出のデータによると、浅草は国内観光客の集客にも苦戦。今年1月と9月で1日あたりの宿泊・訪問者数を比べると、白浜温泉(和歌山県)や那須(栃木県)などは9月に5割増しとなったのに対し、浅草は3割減。浅草は都外からの観光客でも、先月は1月の半分以下にとどまっているという。

 浅草では、中国人の個人観光ビザが解禁された平成21年ごろから外国人観光客が増加。浅草を含む台東区の推計では30年に訪れた外国人旅行客は669万人に上り、外国語の看板や、外国人好みの派手で着やすい着物が並ぶようになった。

 浅草観光連盟では28年、多言語で観光情報を配信するアプリを開発するなどインバウンドへの対応を進めてきたが、改めて国内観光客を意識した取り組みも進んでいる。連盟の有志は今月から、動画配信サービスや写真共有アプリを通じて次世代の浅草イメージガールの募集を開始するなど、国内の若者向けのPRを開始した。

 運営に携わり、浅草で商売を始めて4代目の飲食店経営、雑賀重昭さん(37)は「どこにでもあるようなはやりの店だけでは日本人の観光客を呼び込むことはできない」と指摘。今後はコロナ対策を取りながら、伝統的な貸衣装や人力車など、日本人でも体験することが少なくなった「古き良き浅草」を旗印にさまざまなイベントを仕掛けていくことを検討しているという。雑賀さんは「浅草でしかできない体験を日本の若い人たちにもアピールしなければならない」と話した。

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