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中国は半導体の自給が可能なのか

 中国はIT産業の発展に、中核部品である半導体の生産が追い付かない。これまでは海外からの輸入で間に合わせてきたが、米中経済摩擦の激化に伴って、それも難しくなってきた。中国政府は半導体の自給率を高めようと、巨額の資金を投入して半導体関連企業の育成に躍起となっている。しかし半導体、とりわけ高性能半導体は技術水準が高く、しかも製造設備を米国などに押さえられているとあって、そう簡単にはいかない。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 中国政府は「大基金(正式名称は国家集成電路産業投資基金)」と銘打って、日本円で4兆円を上回る大規模な資金を各方面から集めて、半導体の研究・開発・製造の主要企業に重点的に振り向けてきた。

 ところが政府から支援を受けるのは、多くが国有企業で、もともと技術開発や人材育成と腰を据えてじっくりと取り組むという習性がない。しかも米国などからの技術導入に頼っているところもあり、米中摩擦の影響を受けやすい。

 重点企業の一つ、長●存儲技術(CXMT、●=晶の三つの日を金に)は、当初予定から大幅に遅れて、半導体メモリーDRAMの量産開始になんとかこぎつけた。ただ、本格的な量産体制の確立には時間がかかりそうで、とてもパソコンやスマートフォン向けの国内需要を満たすことはできない。

 一方、政府支援をほとんど受けずに頑張ってきたのが、通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)である。傘下の海思半導体(ハイシリコン)に資金と人材を集め、半導体生産を増やしてきた。今年第1四半期には、世界半導体企業の10位に初めてランキング入りしている。

 ところがハイシリコンも製造設備を米国に依存していて、生産に支障をきたし始めている。せっかくのベスト10入りも短期で終わりかねない。慌てた親会社のファーウェイは急遽(きゅうきょ)、台湾などから半導体の手当てに奔走しているが、今後スマホなどの生産への影響は免れそうにない。

 中国政府は「中国製造2025」の中で、半導体の自給率を2020年に40%、25年に70%という意欲的な目標を掲げている。しかしいまだに20%程度にとどまっており、目標達成は至難の業である。

 米国は日欧などにも対中制裁の共同歩調を求めているため、中国が半導体を海外から手当てするのは一段と難しくなる。国内の生産も思ったほどに増やせないとなると、発展にブレーキがかからざるを得ない。

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