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デジタル庁の創設をムダに終わらせないためには、3つの「ない」が必要だ (1/3ページ)

 日本のデジタル化を阻むハードウエアの文化

 菅政権の打ち出したデジタル庁の創設が大きな注目を集めている。日本の労働生産性は主要先進国中、最下位という状況だが、産業のIT化で出遅れたことが原因の1つになっている。政府が率先してIT化を進めることは民間への波及効果も大きく、本格的なデジタル化に成功すれば日本経済にはプラスとなるだろう。

 だが、ハードウエアを中心とした従来型技術とソフトウエアを中心としたデジタル技術には文化的に大きな違いがあり、この壁を乗り越えなければデジタル化はうまくいかない。本稿では、本当の意味でデジタル化を成功させるために必要となる3つの「ない」について解説したい。

 行政のデジタル化は「絵に描いた餅」に終わるかもしれない

 デジタル庁はこれまで各省でバラバラに構築・運用されていた情報システムを一元管理する組織である。菅政権の目玉政策の1つとなっており、年内に具体策をまとめ、来年度の創設を目指すとしている。

 今回のコロナ危機では、政府のシステムがうまく機能せず、給付金の支払いが滞るといった事態が頻発した。世界の電子政府ランキングで日本は14位にとどまっており、政府のデジタル対応力の低さが混乱に拍車をかけたのは間違いない。

 デジタル庁の創設はあくまで行政の効率化を目指すためのものだが、政府が率先してデジタル化に対応することは民間への波及効果も大きい。電子政府の成功例としてよく引き合いに出されるのはエストニアだが、同国は先ほどの電子政府ランキングでは3位となっている。

 エストニアは90年代から行政のIT化を積極的に進めており、結果として国内のIT産業も活性化し、最終的にはスカイプという世界的なビデオ会議システムを生み出すまでになった(スカイプはエストニア企業ではないが、創業メンバーにエストニア人が含まれており、創業時から開発拠点がエストニアに置かれていた)。

 日本政府は年間4000億円以上の金額を情報システムに支出しており、ITサービス産業にとって政府は最大の顧客の1つとなっている。政府が率先してデジタル化を進めていけば、エストニアと同様、民間にもその影響は及び、最終的には生産性の向上につながってくるはずだ。

 もっとも各省のシステムは、それぞれの省が担当している業務と密接に関係しており、そこには予算を中心に多くの利害関係があるため、各省は簡単にはシステムを手放さない。新しく設置されるデジタル庁に権限と予算が移管されなければ、行政のデジタル化は「絵に描いた餅」に終わる可能性もある。

 こうした問題は霞が関だけでなく民間でも発生しうる。業務の仕組みが異なるので行政とは違う形で顕在化するだろうが、デジタル化に抵抗する人は多く、すんなり進むとは限らない。以下に示した3つの「ない」を徹底しない限り、スムーズなデジタル化は実現しないだろう。

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