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東京都の国際金融都市構想、来秋に改訂 香港向けの誘致活動も強化

 東京都は外国企業の誘致などを通じて東京の金融業を活性化させる「国際金融都市・東京構想」を来年秋に改訂する方針を打ち出した。小池百合子知事は都の成長戦略の柱として平成29年11月に構想を策定、施策に取り組んできたが、国際金融をめぐる環境変化を構想に反映させる。香港からの企業、人材の受け入れ態勢が課題の1つとされており、構想改訂に並行して誘致活動も強化している。

 都は「稼ぐ東京」を掲げて同構想を策定し、金融系外国企業の誘致を実施している。金融に関係する市場調査を行い、関連情報を提供して東京での拠点設立を促す取り組みで、平成29~昨年度までに資産運用事業者など35社を誘致した。今年度までの4年間の誘致目標を50社に設定している。

 世界有数の金融街であるロンドンのシティー・オブ・ロンドンとの間で金融分野のイベントなどに関して協力する協定を締結。昨年4月には国内の主要銀行や証券会社などと連携する形で「東京国際金融機構」を発足させ、海外向けのプロモーション活動などを推進している。

 英国のシンクタンクなどが公表する国際金融都市のランキングでは5位や6位が続いていたが、今年3月にニューヨーク、ロンドンに次ぐ3位に浮上。上海、香港、シンガポールと拮抗(きっこう)しており、9月には上海に抜かれて4位に後退したものの、「これまでの取り組みが実を結んだと考えている」(都幹部)。

 都が今回、同構想改訂に乗り出す要因の1つが香港国家安全維持法施行などで揺れる香港情勢だ。10月7日に開催した都の準備会合では香港からの人材流出を見据えて海外で進む受け皿作りの動きが報告され、「香港からの企業・人材の受け入れに向けて日本に残された時間は少ない」と指摘した。

 小池氏は準備会合で「国際金融都市・東京を確立させるラストチャンスと考えている」と強調。その後、都は東京進出に関心がある企業、人材を支援する窓口を香港に設置した。

 今後、有識者懇談会での検討などを行い、来年秋に同構想を改訂する予定。都幹部は「世界の動きにしっかり対応し、発展するためにスピード感をもって取り組む」と話す。

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