海外情勢

中国の改革派はトランプ氏再選望む 習氏の集権阻止へ「外圧」期待

 中国で習近平指導部と距離を置く一部の改革派や共産党関係者が、トランプ大統領の再選を切望している。中国に強硬なトランプ政権の「外圧」以外に、権力集中を進める習国家主席の長期支配の流れを阻止できる力はないとの閉塞(へいそく)感が背景にある。

 「唯我独尊や覇権主義、いじめは(中国には)通用しない。最終的には必ず行き詰まる」。習氏は23日の演説で、安全保障や経済の分野で対中制裁を連発する米国を強く牽制(けんせい)した。来月3日に迫った米大統領選を意識したのは間違いない。

 習指導部は、トランプ政権が批判の矛先を共産党による一党支配体制に向け、台湾と接近していることを危険視。関係者によると、中国当局は国営テレビに「海外のトランプ氏批判の声を積極的に取り上げよ。民主党のバイデン前副大統領にはなるべく触れるな」と指示しているという。党関係者は「習氏はトランプ氏の落選を望んでいる」と指摘した。

 一方、中国には自国の政治改革を進めるためにはトランプ氏再選の方が有利だとの声もある。「トランプ氏を利用すれば独裁色を強める習氏の野心をくじけるかもしれない。民主党は弱腰だ」と60代の中国共産党員。

 両親が政府高官だった改革派の70代女性は記者の前で、共産党革命に参加した高級幹部の子弟「紅二代」が参加する通信アプリの非公開のグループチャットを開いた。トランプ氏をたたえる言葉や絵文字がひっきりなしに投稿されていた。女性は「政治改革を後退させた習指導部に不満を持つ党長老は少なくない」と明かす。

 米国に亡命した著名作家、余傑氏は、中華圏のトランプ氏支持者について「(改革志向の)右派で、共産党に対し批判的態度を取っている」人々だと分析した。

 共産党は今月、習氏の指導思想を守ることを党幹部に義務付ける新規則「中国共産党中央委員会工作条例」を制定。先端技術を駆使した監視体制により、習氏への批判は会員制交流サイト(SNS)の私的なやりとりですら難しくなっている。

 トランプ氏支持を公言する清華大の郭於華・教授は「(集権を阻止したくても)私たちには選挙権も言論の自由もない。海外の勢力に頼るだけではいけないが、本当にどうしようもないのだ」と述べ、外圧を変革の原動力にせざるを得ない中国の“悲哀”を口にした。(北京 共同)

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