海外情勢

仏全土で都市封鎖を再施行 5月に解除も…相次いだ「誤算」

 【パリ=三井美奈】フランス全土で30日、新型コロナウイルス感染対策の外出禁止令が再施行された。政府は最初の禁止令を5月に解除した後、経済に打撃の大きい強制措置の回避に努めたが、1日4万人を超す大量感染で戦略の抜本的な見直しを迫られた。背景には、今夏以降、相次いだ「誤算」がある。

 フランス科学アカデミーの一員で疫病学者のドミニク・コスタリオラ氏は、30日付ルモンド紙で、「最初の都市封鎖の解除(5月)でしくじった」と述べた。夏の「緩み」が、第2波拡大を招いたという指摘だ。

 同氏によると、7月半ばに感染者数が40歳未満を中心に上昇カーブに転じ、徐々に40歳以上に広がった。

 だが、政府の対応は「屋内でのマスク着用義務」など軽度の規制にとどまった。7月時点では、感染者の6割が症状の出ない無自覚患者。死者数は1日10人前後で今春以降、最低水準だった。バカンス期を迎え、政府は「国内観光ブーム」に水を差そうとしなかった。

 10月17日、政府は大都市圏で夜間外出を禁止したが、感染者急増に歯止めがかからず、再封鎖に追い込まれた。「対策が遅れ、感染速度が速まるほど、強硬措置が必要になる」(コスタリオラ氏)典型だ。

 集中治療室(ICU)の増床も、政府の計画通りに進まなかった。

 4月時点で国内のICUは4千床。軍が出動して野営病院を設けても患者急増に間に合わず、感染者の少ない仏西部や隣国ドイツに患者移送を迫られた。政府は8月、第2波到来に備え、「ICU病床を必要に応じて、1万2千床まで増やす」と公約した。

 だが、病床拡大に必要な看護師や医師の増員が間に合わなかった。マクロン仏大統領は28日のテレビ演説で、「11月半ばにはICU患者は9千人となり、国内の収容力の最大限に達する」と、医療崩壊への危機感を示した。「ICUの看護師養成には5年、麻酔医育成には10年かかる」とも述べ、人員確保の難しさを吐露した。

 政府は今夏、PCR検査を週100万件規模に拡大し、「早期発見、追跡、隔離」の方針を掲げた。だが、感染者が連日4万人を超え、追跡は困難になった。マクロン氏はテレビ演説で方針を見直すと述べ、「感染者を1日5千人まで減らす」目標を掲げた。

 フランスの外出禁止令は、少なくとも12月1日まで。飲食店や、生活必需品以外を扱う小売店は閉鎖される一方、持ち帰り商品の営業は容認される。29日の発表で、1日の感染者は約4万7千人、死者は235人だった。

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