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「日本株の堅調を喜んではいけない」日銀の"爆買い"の末路は地獄だけ (2/4ページ)

 出口はない……保有した株は簡単には手放せない

 国債のように満期が無いだけに、株の保有額を減らすには市場への売り戻ししかない。しかし、ここまで保有額が大きくなると、日銀が保有を減らす意思を漏らすだけで、株式市場に衝撃が走り、暴落が始まるだろう。

 最大の保有者が購入を中止したり、逆に売ったりするとなると価格が暴落するのは想像に難くない。実際、国債市場では1998年に、国債の最大保有者だった資金運用部が「購入を中止する」と発表しただけで暴落が起きた。「資金運用部ショック」という。

 こう考えていけば、先に触れた12月4日の日本経済新聞「日銀ウオッチ」が「『出口はない』。ETFを巡り、行内ではこんな声も漏れる」(筆者注:行内とは日銀行内のこと)との記述にも納得がいく。

 「売れないのなら、いつまでも保有しておけばいい」とおっしゃる方もいるかもしれないが、それは弊害が大きい。

 明治時代から、労働組合他の既得権者の強烈な抵抗を押しのけてまで、国は淡々と国営企業の民営化を図ってきた。明治時代の製鉄所、炭鉱、鉱山の民営化から始まり、日本専売公社、日本電信電話公社、国鉄、新東京国際空港公団、日本郵政公社など私の幼少年期になじみがあった官製組織の多くは民間化した。

 それが名目上は独立しているとはいえ、政府の紙幣印刷所に成り下がった政府の子会社のような日銀が、明治以来の150年弱にわたる民営化の努力を無にし、逆回転させているのだ。

 市場の歪みと企業のモチベーションの低下

 民営化が不可欠なのは競争力強化の観点からだ。株式会社の持ち主は、本来、株主である。西洋社会では、それが徹底している。儲けを出さない経営者は、企業の持ち主である株主に、すぐに首を切られてしまう。だから経営者は必死で利益を上げることを考える。

 しかし、日本の場合、「会社は株主のもの」とは言い切れない。企業のステークホルダー(利害関係者)として、株主の他に、経営者、メインバンク、労働組合、地域社会など「利益の極大化が目的でない」参加者が多くいる。それが経済産業省の望月晴文元事務次官の「日本企業は、欧米企業に技術で勝って利益で負けている」との発言の原因と言える。

 ただでさえ、欧米企業に比べ、利益極大が最大目標の株主の存在感が無いのに、その株主さえ利益極大化が目標ではない日銀がなってしまうのなら、日本企業の利益向上へのモチベーションは著しく落ちるだろう。

 利益が上がらなければ企業は国際競争で脱落し、日本人は働く場を失っていく。税収も上がらない。

 ゾンビ企業に退場通告をするのは株式市場の役割だ

 企業の国営化が進めば、その国はまさに社会主義国家と言える。社会主義国家が資本主義国家に負けるのは、歴史が証明している。前述のように、儲けのインセンティブが失われ、国際競争で敗れるからだ。

 さらに日本では株式市場だけなく、国債市場、不動産市場でも、日銀がモンスターとなり、価格を牛耳っている。これでは市場という優れた経済調整機能を殺した計画経済そのものだ。

 たとえば、市場機能が働いていれば、財政悪化に対して長期金利上昇という警戒警報が鳴る。「政治家さんよ、ばらまけば、経済には多少なりとも良い影響があるかもしれないが、長期金利の上昇が経済を下押ししますよ。財政出動はほどほどにね」との警報だ。

 ところが、今のように、日銀が国債を爆買いすることにより、長期金利の上昇を押さえつければ、警報が鳴らず、痛みを感じないバラマキで、財政赤字が膨大化してしまう。

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