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「日本株の堅調を喜んではいけない」日銀の"爆買い"の末路は地獄だけ (3/4ページ)

 ゾンビ企業に退場通告をするのは株式市場の役割である。市場原理(儲かるか儲からないかで判断を下す)の働かない日銀が最大株主になれば、その株式市場のその役割が失われ、産業の新陳代謝が遅れてしまう。その結果、日本は経済三流国、四流国へと落ちぶれていってしまうのだ。

 価格が大きく動くものを中央銀行は買ってはいけない

 今まで述べてきたことは中央銀行が株式を購入することに関しての中長期的な問題点だ。潜在的問題点と言ってもいい。しかし、日銀以外の他の中央銀行が株式を買わないのは、「中央銀行は株を買ってはいけない」が常識だからだ。

 今年3月の期末が近づいてきたとき、ひょっとすると日銀の保有株式が評価損になるかもしれないとマーケットでは大騒ぎした。結局、終値は2万1200円だったのだが、1万8900円以下になると、評価損を被るぞ、と騒がれたのだ。「評価損が発生するかもしれない」とマーケットが騒ぐような資産を中央銀行が持ってはいけないのが世界の中央銀行マンの常識のはずだ。

 最初に述べたように、通貨の価値は中央銀行の資産の健全性による。通貨の価値は「国力による」「軍事力による」「国民の資産量による」などといろいろなことを言う人がいるが、それは、「中央銀行の財務が健全である」との前提での話だ。どんなに強い軍隊を持ち、国力が強く、国民が多額の資産を持っていても、中央銀行の財務が劣化すればその発行する通貨は誰も使わない。

 「馬車に山ほど積まれた札束でパンを買いに行く(=ハイパーインフレの状態)」風刺画などを、よく見るが、それは通貨が紙屑化したせいだ。ドイツでは第2次世界大戦後、その事態から脱却するために、(ワンクッションあったがが)ライヒスバンクという古い中央銀行を廃し、ブンデスバンクという新中央銀行を作った。

 当然ライヒスマルクは紙屑化し、ドイツマルクが発行された。当時のドイツの国力も、軍事力も、国民の資産量も、ライヒスマルク時代とドイツマルク時代とは、何一つ変わっていないのに、新しい紙幣の発行で、ドイツの貨幣価値は復活したことで、通貨の基礎は中央銀行の財務だということがお分かりいただけるだろう。

 日経平均がどのくらい下落すれば日銀に評価損が発生するのか

 今年3月末時点では、(私の大ざっぱな計算では)日経平均が1000円動くごとに日銀保有株式の評価損益が1兆5600億円ずつ動く計算だった。

 リーマンショックの時には、株価は1万2214円(2008年9月12日)から一時6994円まで5220円も下落した。もし、今年3月時点から、株価がリーマン時のように5220円下落したら日銀の保有株株式の評価損は8兆3100億円にものぼり、日銀が「債務超過をかろうじて免れる」という事態になってしまったはずだ。

 もしリーマン時と同じ率の下落率、すなわち日経平均が2020年3月末の1万8917円から43%下落するとなると、12兆6800億円の評価損が発生してしまうことになる(筆者注:これは今年3月末時点での計算。日銀は、4月以降、より高い値段で株を追加購入しているので、評価損は、もっと大きくなると思われる)。

 長期金利はすでに0%なので、株価が下落しているからといって、さらなる長期金利の低下(=価格の上昇)は考えにくい。となると日銀は完全な債務超過となる。

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