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「月2980円バトル」赤字必至のドコモと黒字前提の楽天、その決定的な違い (1/3ページ)

 「20GBで月2980円」のドコモが意識する楽天の存在

 携帯電話大手3社(3メガ=NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の神経戦が続いている。値下げ圧力をかけ続ける菅政権は、どこまで値下げすれば許してくれるのか。ライバルはどこまで下げてくるのか。腹の探り合いが続いている。

 こうした中、最後発の楽天モバイルは従来の半額以下の「データ使い放題で月額2980円」で着実に利用者を増やしている。背後には通信の常識を覆すイノベーションがある。

 NTTドコモは12月3日、20ギガ(ギガは10億)バイトのデータ容量で月額2980円(税抜き)の新プラン「ahamo(アハモ)」を、2021年3月から提供すると発表した。2980円としたのは当然、楽天モバイルを意識してのことだ。

 一方KDDIが12月9日に発表した「au新サービス」はデータ使い放題にAmazonプライムをつけて月額9350円という保守的な内容だった。「家族4人での複数回線割引」「固定回線とのセット割」「5Gへの切り替えに伴うキャンペーン」などを適用すれば3760円になるが、この条件が当てはまるユーザーは多くない。

 ソフトバンクはKDDIと共に、自社の格安ブランドに乗り換える時の手数料(最大1万5500円)を無料にすると発表したが、肝心の通信料金については今のところ、静観の構えだ。

 3メガは5Gを20%も値下げしたら赤字に転落する

 KDDIやソフトバンクが軽々に動けないのは理由がある。

 3メガはこれまで2G、3G、4Gとインフラ整備に巨額の投資を続けており、今年になって一部の地域でサービスが始まった5GではドコモとKDDIが2024年までの5年間でそれぞれ約1兆円、ソフトバンクは5000億円の投資を予定している。

 3メガは全国にそれぞれが2200~2300カ所のキャリアショップを展開しており、その人件費だけでも年間数千億円に及ぶ。テレビCMも大量投下しており販促コストもこれと同等の規模と見られる。ランニングコストが半端ではないのだ。ある業界関係者はこう試算する。

 「今のビジネス・モデルのままでは、3社とも10%の値下げで収支トントン。5Gを20%も値下げしたら赤字に転落するだろう」

 楽天モバイルを潰しにきた

 つまりこれまで敢行した投資や日々の固定費を回収しようとすれば、KDDIの9350円が妥当であり、ドコモの2980円はかなり無理をした金額だ。ドコモはすでに営業利益でソフトバンク、KDDIに抜かれ3位に甘んじているが、なりふり構わず楽天モバイルを潰しにきた。

 ライバル会社の幹部は「NTTドコモはもはや公社になった。民間企業である我々が新料金プランに対抗するのは並大抵のことではない」と危機感をあらわにする。

 ahamoの月額2980円は、菅政権からの強烈な値下げ圧力を受けた結果でもあり、つとめて「政治的」な価格設定である。既存のドコモユーザーが全てahamoに乗り換えてしまったら、ドコモは赤字に転落する。

 このためahamoは加入手続きを実店舗では受け付けず、オンラインに限定した。データ使用量の上限を20ギガとしたのも、高額な料金を支払うヘビーユーザーを従来のサービスにとどめるためだろう。

 破格でも「黒字化できる」楽天の戦略とは

 では価格破壊を仕掛けた側の楽天モバイルの台所事情はどうなっているのか。

 楽天モバイルの会長も兼ねる楽天の三木谷浩史会長兼社長は2023年ごろに700万~800万件の加入者を獲得し、この時点で黒字化すると踏んでいる。「データ使い放題で月額2980円」という破格の価格設定で、なぜ黒字化できるのか。

 なぜ楽天は5Gの料金を3メガの3分の1にできたのか。鍵を握っているのは2018年に楽天モバイル副社長兼CTO(最高技術責任者)に就任したタレック・アミン。アミンは楽天モバイルのインフラ投資が3メガに比べて格段に少ない理由をこう説明する。

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