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共産党創立100年 強国の夢 元滋賀県立大学教授・荒井利明

 来たる2021年、中国の最高指導者、習近平は今年同様、新型コロナウイルスの感染制御と厳しく対立する米国との関係に頭を悩ませることになろう。そして、中国共産党は7月に創立100年を迎える。

 100年前、中国の知識人にとって、欧米列強、そして日本によって半植民地化された現状をいかにして変革するか、いかにして国を救い、国を強くするかが最大の課題だった。

 ロシア革命の衝撃の中から生まれた中国共産党も、「救国」と「強国」を目指した。1949年の共産党政権の樹立によって「救国」は一応達成され、以後は「強国」が国家目標となった。

 来年は文化大革命(文革)の開始から55年という節目の年で、文革中の最大の出来事である林彪(りんぴょう)事件からちょうど50年になる。事件の全容はいまなお解明されておらず、最近も、歴史家の蕭(しょう)功秦(上海師範大学教授)が「林彪事件再考察」と題する論文を発表している。

 この論文も指摘しているが、林彪は公の場では一貫して毛沢東を支持し、たたえたものの、内々では階級闘争至上主義的な毛沢東を批判し、文革にも不満を抱いていた。ひそかに書き残したメモなどからも、林彪が文革を早期に終焉(しゅうえん)させ、経済の発展に力を注ぐよう望んでいたことが分かっている。林彪がモンゴルの草原で墜落死することになった背景には、後継者に選んだ林彪が自身の死後、毛沢東批判、文革否定を行うのではないかという毛沢東の危惧があった。

 むろん、毛沢東も強国化を追求した。文革の綱領的文書を採択した66年8月の共産党中央委員会総会のコミュニケも、「文革を徹底的に遂行し、社会主義革命を徹底的に遂行して、わが国を強大な社会主義国家にするために奮闘しよう」と党員、国民に呼びかけている。

 「弱くて貧しい国」を「強くて豊かな国」に発展させること、それが「中華民族の偉大な復興」であり、「中国の夢」の実現である。それは共産党の歴代指導者の共通の思いであり、社会主義強国という55年前の毛沢東の目標は、習近平の新時代になっても変わらない。

 習近平は2021年前半に「小康(ややゆとりのある)社会」の全面的実現を宣言し、共産党創立100年を迎える予定である。そして、創立100年を祝った中国は習近平長期政権の下、建国100年(49年)の夢の実現に向けて新たな長征を始めることになる。(敬称略)

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