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東京五輪、政府「無観客」も視野 3月末までに判断

 今夏の東京五輪・パラリンピックの開催に向け、政府は「無観客」とする可能性も視野に入れて検討を進めている。訪日客などの水際対策の緩和が見通せず、「国内の観客は入れて海外の観客ゼロは難しい」(政府高官)とされるからだ。五輪開催自体を危ぶむ声もあるが、観客の有無と開催可否は切り離す見方が大勢だ。政府は最終判断する国際オリンピック委員会(IOC)と連携を取りつつ、3月末にかけて内外の感染状況を見極める。

 政府の対策調整会議は昨年12月、観客数の上限については「国内の上限規制に準じることを基本とする」とする中間報告を明らかにした。判断の基軸となるのはまず国内の感染状況だ。

 首都圏では緊急事態宣言が発令中だが、スポーツイベントの開催自体は上限5000人で許容される。屋内では定員の50%以内か5000人で少ない方の人数となり、屋外では人と人の距離を2メートル空けるよう求めている。観客数の上限は屋外か屋内か歓声が上がるかなど競技の特性に応じて判断する。仮に感染者数が下火になっても政府が「安全・安心な大会」を掲げる以上、「上限なし」の選択肢は現実的ではないとの見方が強い。

 もう一つの判断基準が水際対策だ。日本では昨年12月28日以降、全ての国について日本国籍を持たない外国人の新規入国を禁止している。感染力が強いとされる変異ウイルスの感染例が確認されているからだが、今後、水際対策の緩和が見込めなければ「無観客」の選択肢が現実味を帯びる。

 多くの政府関係者は無観客でも開催可能と見る。選手やコーチら大会関係者は出発2週間前からPCR検査や行動制限を課せられ、滞在中のホテルでもフロアごとに貸し切る。一貫して大きな泡で包むように外部との接触を遮断する「バブル方式」が各種国際大会で成功を収めている。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が1月23、24の両日に実施した合同世論調査では、五輪開催について再延期や中止もやむを得ないといった回答が8割を超えた。世論の理解を得られるかは、大会の安全・安心をいかに確保、発信できるかにかかる。(市岡豊大)

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