海外情勢

現地在住の日本人女性も接種、世界最速ペースのイスラエル「安心材料増える」

 新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に加速する中、中東のイスラエルが群を抜くペースで接種を進めている。現地在住の50代の日本人女性が産経新聞の取材に応じ、ワクチン接種を受けた経験を語った。17日に医療従事者への接種が始まった日本では副反応などへの不安の声も出ているが、女性は「ワクチンを接種する人が増えれば安心材料が増える」と強調する。(大渡美咲)

 2度接種、異変なし

 女性は20年ほどイスラエルに住み、永住権を持つ。現在は南部にある都市アシュケロンで暮らしている。イスラエルでは、60歳以上の市民や医療従事者を優先して接種しているが、女性は、友人から対象でなくても受けられると聞き、1月7日に1回目の接種をしたという。

 体育館の一部を改装した接種会場に行き、番号を呼ばれてから、発熱やアレルギーの有無についての問診を口頭で受けた。皮下組織の下にある筋肉まで針をまっすぐに深く刺す「筋肉注射」という投与方法で、米ファイザー製ワクチンの接種を右腕に受けた。

 その数日後、電話で連絡を受けて2回目の接種を今度は左肩に受けた。問診もなく、すぐに接種は終了したという。その場で仮の接種完了証明書が手渡され、正式な証明書は後日、郵送で送られるという仕組みだった。

 1回目の接種では肩から腕のあたりに打ち身のような軽い痛みが残った。女性は「2回目の方が痛かったが、48時間経過すれば忘れる程度だった」と振り返る。その後、体調不良や体の異変はないという。

 医療情報を一元管理

 人口約900万人のイスラエルでは、これまでに70万人以上が新型コロナに感染し、5000人以上が死亡。現在もロックダウン(都市封鎖)が続くが、ワクチンの接種は世界最速のペースで進んでいる。

 多くのワクチンは1人につき2回の接種が必要。オックスフォード大研究者らが各国での発表などを基に作成したデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると15日時点で世界で1億7794万回の接種が行われた。

 イスラエルは人口100人当たりの接種回数が76・3回と国別で最多。同国政府は16日、全国で1回以上接種を受けた市民が人口の4割以上に当たる400万人を突破したと発表した。

 日本と同様に国民皆保険制度があるイスラエルの場合、医療サービスは「健康維持機構」(HMO)を通じて提供される。国民は全国民が4つある健康維持機構のいずれかに入ることが義務づけられており、国はこうした医療情報を一元管理。データベースを基に優先接種者のリストを作成するなどして、素早い接種を実現しているという。

 助け合いの精神で

 女性は新型コロナの感染拡大以降、日本へ帰国することができないでいる。ワクチン接種を受けた理由について「日本に家族がいるので、渡航が可能になった場合のリスクを省きたかった」と話す。

 イスラエルで生活する中で、新型コロナに感染し隔離生活に入った住民にマンションの住人が声をかけて励ましたり、店などで感染したことを気軽に話題にしたりする姿をよく目にした。一方、日本で感染者への差別が起きたことを報道で知り、複雑な思いを抱いているという。

 「国民性の違いは大きいが、新型コロナは誰でもかかる可能性がある感染症。日本人の助け合いの精神を思い出して乗り切ってほしい」。大勢の人がワクチンを接種し、世界中で感染の心配がなく過ごせる日々が早く来てほしい。女性はこう祈っている。

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