国内

くすぶる接待問題、攻防は参院に 予算案衆院通過も 

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される中での召集となった今国会は2日、衆院で令和3年度予算案が通過し、一つの節目を迎えた。政府・与党は予算の年度内成立にこぎ着けたが、総務省と農林水産省の接待問題は全容解明には至らず、くすぶり続ける。3日から論戦の舞台が移る参院予算委員会でも立憲民主党など野党との攻防が繰り広げられる見通しだ。

 「コロナ禍で経済対策を的確にやらなければならない中、予算が年度内に成立することは大変大事なことだ。自治体としても大きな関心事であり、年度内成立が早い時点で明確にできたことは非常によかった」

 自民党の森山裕国対委員長は2日、国会内で記者団に胸をなで下ろしたような表情でこう語った。

 今国会で政府・与党は1月28日に2年度第3次補正予算を成立させ、2月3日には新型コロナ対策強化のための改正特別措置法を立民の協力も取り付けて成立させるなど、与党ペースで順調に審議を進めてきた。

 ところが、菅義偉(すが・よしひで)首相の長男、正剛(せいごう)氏が関与した総務省幹部の接待問題が発覚。立民は追及モードに転じ、首相は予算委の場で終始防戦に追われた。加えて、贈収賄事件で在宅起訴された元農水相の吉川貴盛被告と鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表との会食に枝元真徹(まさあき)農水事務次官らが同席していた問題も重なり、事態はさらに悪化した。

 2日の衆院本会議での予算案採決に先立つ予算委の締めくくり質疑では、接待の有無をめぐる農水省の調査が吉川被告の農水相在任期間に限られていたことに、立民の大西健介氏が「極めて不完全な調査だ」などと指摘。野上浩太郎農水相から「意見を踏まえて追加的な調査が必要かを検討する」との答弁を引き出した。今後の参院予算委でも引き続き、野党の追及材料となるのは必至だ。

 参院予算委の審議は「片道方式」と呼ばれており、首相や閣僚が答弁している間は質疑時間にはカウントされない。このため首相らの答弁に納得がいかなければやり直しを求めやすく、野党が接待問題での新たな事実を引き出すために攻勢を強める展開も予想される。

 自民党の世耕弘成参院幹事長は2日の記者会見で「コロナ対策と社会経済活動の両立、東京五輪・パラリンピックなど、さまざまな課題について参院らしい充実した議論が行われることを期待したい」と語ったが、政府・与党の防戦は参院でも続きそうだ。(永原慎吾)

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