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中国の春節で「唐人街探案3」が大人気 日本からも豪華キャストが出演

 中国では春節(旧正月)になると、一斉に帰省するので、都市部は静かになるのが通例だが、今年ばかりは様子が違った。新型コロナウイルスの再流行を防ぐために、帰省を控えるようにとのお触れが出ていたからだ。暇を持て余した人々は、映画館に殺到した。「初一(元日)」の入場券売り上げは17億元(約280億5000万円)余り、来場者数は約3400万人、いずれも1日当たりでは過去最高の記録となった。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 中でも人気のあった映画は、新型コロナで公開が1年遅れていた「唐人街探案3」だった。予約段階から圧倒的な人気を集めていたが、元日の夕方には早くも売り上げが10億元を突破、過去最速の大台乗せとなった。

 「唐人街探案3」は、劉昊(こう)然の演じる青年探偵・秦風と王宝強の演じる叔父・唐仁が、世界の中華街を舞台に事件を解決していくというコメディーサスペンスである。第1作はタイのバンコク、第2作は米ニューヨークが舞台だったが、今回は日本の東京を舞台にストーリーを展開している。日本人探偵・野田役を演じた妻夫木聡をはじめ、中国でもファンの多い女優の長澤まさみや人気俳優の三浦友和とか、「空海」に主演した染谷将太ら、日本からも豪華キャストが出演している。

 予告編をみると、渋谷や新宿などの街並みや、公道カートでの疾走シーンや相撲シーンなど、日本らしさがふんだんに盛り込まれている。

 実はこの映画は、2018年に結ばれた「日中映画共同製作協定」の対象作品なのである。日本での撮影は、一昨年に約2カ月間にわたって行われた。撮影舞台となるはずだった「渋谷スクランブル交差点」では、安全性などの問題から警察の許可が出ず、栃木県足利市に本物さながらの大掛かりなセットを作ったことでも話題を呼んだ。

 中国では1970年代末~80年代にかけて、日本映画がブームを呼んだことがある。いまでも高倉健、山口百恵などの名前をよく知る年配者は多い。ところがその後、中国は外国映画の輸入本数を制限する措置を取った。日本から輸出された映画もアニメ作品が多かった。

 日本では、「僕はチャイナタウンの名探偵3」の題名で公開予定である。「日中映画共同製作協定」の対象作品は、中国の輸入制限の枠外なので、日中の文化交流拡大には役立つが、果たして日本ではどれだけの観客を集められるだろうか。(敬称略)

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