海外情勢

脱出第2波、遠方で長期滞在 富裕層「ワクチン接種まで戻らず」

 新型コロナウイルスのための世界的なロックダウン(都市封鎖)の新たな波を前にして、人々は前回よりもさらに遠くへ、さらに長期的な避難先を求めて移動した。

 英国を拠点とする旅行会社カートロジー・トラベルの創業者、ジャスティン・ハクスター氏によると、英国と欧州の富裕層は冬のロックダウンを避け、ドバイやモルディブ、スペインなど、より温暖なところへ逃れた。米国人はさらに選択肢が多かった。ハワイは旅行制限を緩和していたし、メキシコ、コスタリカ、ベリーズ、カリブ海の多くの国の国境は開かれていた。

 40%割引など好条件

 エンバーク・ビヨンドの創業者、ジャック・イゾン氏は「ロックダウンに疲れた人々は、ストレスがはるかに少なく、息をつくスペースが格段に大きい場所で生活を続けることが可能だと気付いた」と指摘する。顧客は気候が良くてWi-Fi(ワイファイ)環境が整ったあらゆる場所の高級ホテルやリゾート施設に押しかけた。平均的な費用は1カ月7万ドル(約750万円)で、2~4カ月の滞在を予約する人が多いという。

 長期滞在割引と一部国境の再開、旅行中の感染防止策の周知で、脱出第2波は容易になった。

 サンフランシスコ・ベイエリアを拠点とするサバンティ・トラベルの創業者、リー・ローワン氏によれば、人々は昨年10月には冬のロックダウンを予想し、片道チケットを購入してリモートで仕事のできるビーチフロントの別荘や快適なホテルなどに行ってしまった。今回は、ワクチンの予約ができるまでは戻ってこないつもりだという。

 グラフィックデザイナー、メラニー・ウッズ氏はベリーズの国境が再開された10月1日から、タートルインリゾートで仕事をしている。

 ベリーズは旅行者に到着次第、新型コロナ陰性証明の提示を求めるのでウッズ氏は安心だった。ホテルの料金は1泊329ドルからだが、長期滞在の場合、宿泊と食事の両方が20%割引になる。ウッズ氏は自宅アパートを貸し出して滞在費に充てている。「夏まで、あるいはワクチンが接種できる時までは戻らないと思う」と同氏は話した。

 ロサンゼルスに住むカートライト夫妻(アランとボニー)はメキシコのチリノベイで最初10泊の予約をしたが、長期滞在には最大40%の割引があったので宿泊を延長し続けている。

 仕事の生産性も向上

 旅行アドバイザーのローワン氏によれば、異なる環境は多くの顧客にとって仕事にもプラスだった。ロサンゼルスのブランディングおよびコンサルティング会社のパートナー、シャイアン・クイン氏もその一人だ。同氏は10月にメキシコのトゥルムに飛び、以来1泊わずか20ドル程度で家を借りてメキシコ中を転々としている。

 新型コロナ流行の前のような「ルイ・ヴィトン」などといった大口顧客との仕事はなくなったが、旅の間に職人や中小企業のオーナーと出会い、こうした人々が同氏の会社の再建を助けてくれた。ソーシャルメディア戦略とマーケティングについてのコンサルタントとして雇ってくれた人もいるという。

 ベイエリアのエネルギーイノベーション会社の最高経営責任者(CEO)であるショーン・ガービー氏も、メキシコでの長期滞在で生産性が向上した。 メキシコのトドスサントス近くのリゾート、モダンエルダーアカデミーに滞在する同氏は「この4週間で昨年1年間よりも多く仕事をした」と語った。

 今はトドスサントスに家を建てているところだという同氏は「クライアントと協力者は私がメキシコにいるという考えに非常に前向きに反応していると思う」と話した。(ブルームバーグ Jen Murphy)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus