海外情勢

中国全人代 コロナ危機で「強権」強めた習政権、対外で増す軋轢

 【北京=三塚聖平】1年ほど前、中国・武漢から広がった新型コロナウイルスの感染流行が深刻となり、習近平政権は昨年3月の全国人民代表大会(全人代)の開催を約2カ月、延期せざるを得ない事態となった。保守派からもコロナ対応で批判が噴出し、習氏の求心力に陰りが見えたとの見方すら、広がった。

 そこで習氏がとった巻き返し策は、強権的な統治手法をさらに強めることだった。武漢の都市封鎖や厳しい移動制限など、市民生活にも多大な犠牲を強いた感染対策でコロナ禍に歯止めをかけた。言論統制で批判の押さえ込みも図った。

 李克強首相は5日、「感染症対策で重要な戦略的成果をあげ、世界の主要経済国で唯一、プラス成長を実現した」とも自賛した。

 こうした感染対策を成功体験と位置付け、次の矛先を向けたのが香港だ。昨年の香港国家安全維持法(国安法)の施行に続き、今回の全人代では選挙制度の全面的な見直しを一気に進める。見直しで掲げる「愛国者による香港統治」は中国共産党・政府への反発を許さない内容だ。海外からの批判も「内政問題」と一蹴して民主派一掃を急ぐ。

 強硬姿勢は外にも向かった。外交では「戦狼(せんろう)」と呼ばれる攻撃的手法を展開した。コロナ発生源について第三者調査を求めたオーストラリアに猛反発し、事実上の報復措置をとった。

 また、東・南シナ海では強引な海洋進出を続け、海上警備を担う中国海警局に武器の使用を認めた「海警法」を2月にスピード施行させた。李氏による政府活動報告で、国防に関し「訓練・戦備を全面的に強化する」とも表明している。

 自国の利益を強引に確保しようとする姿勢は、各国との軋轢(あつれき)を多くの面で生じさせた。英国は中国による香港の民主派弾圧への批判を強め、最新鋭空母を年内に東アジアへ派遣する計画を立てた。「英中蜜月」時代は過去の話になった。

 米国との対立は長期化が避けられないと習政権自ら覚悟し、2025年までの新5カ年計画ではサプライチェーン(供給網)の強化や内需拡大を強調。米国に頼らずに済む経済態勢を長期的に築く腹づもりだ。

 全人代では35年までの長期目標も表明したが、これは習氏の長期政権への布石とみられている。毛沢東に迫る権威の確立を目指しているとの観測もあるが、コロナ危機の時のように手綱を締めなければ不満が噴出しかねない、との緊張感が強権の裏に漂っている。

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