海外情勢

サウジが観光地開発を加速 政府系、外国人客誘致へ年400億ドル投資

 脱石油による経済多角化を進めているサウジアラビアが、内需拡大と外国人観光客の誘致を狙いに、国内の観光地開発を加速している。

 政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」(PIF)は、イエメンとの国境に近い山岳部の観光地開発プロジェクトを手掛けるサウダ・ディベロップメント(SDC)に約30億ドル(約3200億円)の資本を投入する。SDCのフサメディン・アルマダニ最高経営責任者(CEO)によると、同社は観光村アル・サウダの地域に客室数2700室分のホテルや住宅1300件を建設する。

 アルマダニ氏は取材に対し、「サウジで暮らすわれわれの多くはこうした場所の存在を知らなかった。首都リヤドで30年暮らしたが、1時間のフライトでこんなに美しい景色を見ることができると分かった」と話す。同CEOとその家族、従業員らは現在、サウダ村で暮らしている。

 サウダ村地域の開発をはじめ同国の観光開発は増え続けている。PIFは今後数年間、国内に年400億ドルを投じると表明。紅海の豪華リゾートや首都リヤド郊外のテーマパークと娯楽の複合施設、最先端技術を集めた北西部のスマートシティー「ネオム」などに資金を拠出する。

 脱石油による多角化と門戸開放を進めるムハンマド皇太子の経済改革計画「ビジョン2030」の下、同国は2019年、世界の観光客に初めて門戸を開いた。だが新型コロナウイルス禍で昨年の大半は国境閉鎖を余儀なくされた。

 サウジ国民は外国で休暇を過ごすことを好むが、コロナ禍で今も不要不急の国外渡航は少なくとも5月まで禁止されており、そのことが国内観光の成長を後押ししている。

 アルマダニ氏は「パンデミック(世界的大流行)で外に出て自然の景観を見たい人の数が3倍に膨らんだ。そうした需要は開発加速の圧力になっている」と話す。

 娯楽施設や観光地を開発して国内消費を促す内需喚起は、ムハンマド皇太子が進める計画の重要な部分だ。政府は外国人観光客が入国しやすいように観光ビザを解禁し、未婚カップルのホテル滞在を認めた。また、女性の運転を解禁し、女性に対する厳格な服装規定を緩和した。

 アルマダニ氏によると、SDCは開発中の不動産を外国人が取得できるよう規則の見直しを進めている。同社は30年までに年200万人の観光客誘致を目指しており、プロジェクトの第1段階は23年までに完了する見通しだという。(ブルームバーグ Matthew Martin)

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