海外情勢

欧州株に弱気 投資家は接種遅れ警戒、堅調続くも成長妨げる恐れ

 欧州で新型コロナウイルスのワクチン接種がつまずいていることをめぐり、世界の有力投資家の間では、経済成長が妨げられるとの警戒感が一部浮上している。事業活動の再開ペースが鈍くなるというのが理由。

 欧州株は世界的な株高の流れに乗っており、米国の大型ハイテク株売りをよそに堅調に推移しているものの、長引くロックダウン(都市封鎖)は景気回復を脅かしている。投資家はそれに気づいており、欧州の株式ファンドからは3週間にわたり資金が流出した。バンク・オブ・アメリカ(BOA)などは、持続的な感染拡大でユーロ圏のトレーディング戦略に悪影響が及びかねないと警告している。

 プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は、「欧州が新型コロナウイルスに対処したいのであれば、ワクチン接種ペースを是が非でも加速する必要がある」と指摘。「官僚主義と政府からの混乱したメッセージが接種プロセスを圧迫している」と述べた。

 プリンシパルは欧州株より米国株を有望視する。バイデン米大統領の1兆9000億ドル(約206兆円)規模の追加経済対策法案が経済の燃料になると期待する一方、欧州の復興基金は「比較すると見劣りする」とシャー氏は話す。

 大陸欧州は政治的内紛や供給の混乱、国民の抵抗に悩まされ、ワクチンの分配が大きく出遅れている。ブルームバーグのコロナウイルス・ワクチン・トラッカーによれば、100人当たりのワクチン接種回数は、欧州連合(EU)が8回に対し、英国は33回、米国は25回。ブルームバーグ・エコノミクスの試算では、経済再開が1、2カ月遅れると、EU経済に500億~1000億ユーロ(約6兆5000億~13兆円)の損失が生じる可能性がある。

 接種状況には多少の進展も見られる。ドイツでは高齢者の優先的な接種を背景に80歳以上の感染率は昨年12月後半以来、約8割減少した。ロンドンの調査会社エアフィニティによれば、ワクチンの新たな供給契約や増産のおかげでEUは、成人人口の75%への接種を当初見通しより約2カ月早い8月末までに実施できる可能性があるという。

 それでも投資家の目には遅過ぎと映っているかもしれない。BOAのストラテジストらは、「夏の期間は重要だ。2回目の観光シーズンを失えばEUにとってリスクだ」と指摘する。同行はユーロが現在の1ユーロ=1.19ドルから年末までに1.15ドルに下落すると予想。米国のワクチン接種はEUより急ピッチであり、財政出動の総額はEUの復興基金の6倍に上ると付け加えた。(ブルームバーグ Ksenia Galouchko、Michael Msika)

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