海外情勢

米が200兆円対策成立へ 下院で可決、GDP成長率見通し押し上げ

 米下院は10日、バイデン大統領が推進する1兆9000億ドル(約206兆円)規模の追加経済対策法案を賛成多数で可決した。大統領の署名を経て12日に成立する見通し。採決は賛成220、反対211だった。

 民主党から造反1人

 バイデン大統領は約2カ月前に新型コロナウイルス禍に対応する「米国救済計画」を発表。上院での厳しい交渉を経てほぼ当初の内容のまま6日に可決され、下院に戻されていた。大統領は12日に署名する予定。サキ大統領報道官は「政権が対策の実施に全速力で取り組む」と述べた。

 追加経済対策の成立はバイデン大統領にとって大きな政治的勝利となる。僅差ながらも議会を掌握する民主党内での求心力を示す形となった。一方、同法案をめぐる党派的分断は、大統領が今後成立を目指す長期的な大型経済対策の先行きに暗い影を落とす。

 これまでの経済対策法案は超党派での支持を得ていたが、今回は上院と下院で1人の共和党議員も賛成票を投じなかった。10日の下院採決では民主党から1人の造反があった。

 ペロシ下院議長は審議終了時に、「世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を宣言してから、あすで1年となる。宣言以来、3000万人近い米国民が感染し、50万人を超える国民が亡くなった。外国との戦争での累計死者数を上回る数の国民の命が失われた。この法律は米国民に1兆ドル近くを給付する。間もなく支援が届くというバイデン大統領の約束に私も加わる」と語った。

 バイデン大統領は11日夜(日本時間12日朝)演説し、「国家としてわれわれがこの1年間に経験してきたことを話す」計画だ。ホワイトハウスで行われた10日のイベントで明らかにしたもので、「さらに重要なこととして、次の動きについて話す。新型コロナ対応の次の局面に着手するつもりであり、政府として何を行い、米国民に何を求めるか説明する」と述べた。

 また、イエレン財務長官は声明で、「今後数カ月はまだ困難が予想されるが、この法律はわれわれの眼前の危機を取り除く助けになり、新型コロナ後の将来をより良いものとする端緒となる」とコメントした。

 共和党は「過大」批判

 ホワイトハウスは10日、1400ドルの各世帯への給付は月内に始まると発表。「財務省と内国歳入庁(IRS)は給付を月内に確実に始められるよう取り組んでいる」とし、政府機関は「過去の支給の際の教訓を生かして、小切手よりも大幅に迅速に処理可能な電子給付を受ける世帯を増やす方針だ」と説明した。

 一方、共和党側はバイデン大統領とペロシ議長、シューマー民主党上院院内総務が小規模な経済対策案を拒否したとして批判。米経済は既に回復基調にあり、民主党主導の対策は過大で金融面のリスクを高めるものだとしている。

 今回の対策は、エコノミストが当初、議会のねじれ状況の中では限界があるとして予測していた規模をはるかに上回る。金融大手各社は今週に入り、今回の対策法案可決を織り込み、2021年の米国内総生産(GDP)成長率見通しを相次いで上方修正。モルガン・スタンレーは朝鮮戦争による好況以来、超えることがなかった7.3%成長に修正した。(ブルームバーグ Erik Wasson、Katia Dmitrieva)

 ■米経済対策のポイント

 ・国民1人当たり1400ドルの直接給付(一部高所得層を除く)

 ・週300ドルの失業保険給付上乗せの9月までの延長

 ・新たな医療保険料補助

 ・子供に関する税額控除

 ・3600億ドルの州、地方自治体支援

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus