海外情勢

インド電子決済参入へ激戦 地場最大企業や米巨大IT、免許目指し合従連衡

 米印の巨大企業がインドのデジタル決済市場参入でしのぎを削っている。国を挙げてキャッシュレス化を進めるインドの電子決済市場は2023年には1兆ドル(約108兆円)規模に達するとみられており、巨額の手数料を狙い米IT大手3社や印最大企業リライアンス・インダストリーズなどが合従連衡を行いながら事業免許の争奪戦を繰り広げている。

 23年には1兆ドル市場

 インド政府は金融機関同士の資金決済を除くリテール(個人向け)電子決済網の運営に参入するための企業を募っており、事業免許の申請が今月末に締め切られる。免許取得に向けた準備を進めるコンソーシアム(共同事業体)にはフェイスブックやアマゾン、グーグルなど米巨大IT3社やクレジットカード大手のビザやマスターカードなどが名乗りを上げている。

 免許を取得したコンソーシアムには手数料収入が入る。手数料は単価こそ小さいものの、キャッシュレス化の進展の中で将来の取引量は急拡大する見通しだ。また、ATM(現金自動預払機)やPOSシステム、送金サービスにとどまらず、革新的な支払い手段を新たに設定、運用するなど新領域を開拓することも可能になる。

 インドではなお現金決済が主流だが、13億人の国民がインターネット通販やオンラインゲーム、ストリーミングといったサービスの利用を開始するのに伴い、電子決済が急速に普及している。同国のスマートフォンユーザー基盤は10億人に近づいており、スイスの金融大手クレディ・スイスはインドの電子決済が23年には1兆ドルに達すると予測している。

 インドのスマホ決済最大手、ペイティーエムの創業者であるビジェイ・シェカー・シャルマ最高経営責任者(CEO)は「印モバイル電子決済はコロナ後の世界で急成長する。今こそ決済手段の多様化を進めるべきときだ」と期待する。

 ただ規制当局のインド準備銀行(RBI、中央銀行)が付与する免許数は1~2件に限られるとみられ、参入は狭き門だ。6カ月以上をかけた審査を経ても、実際にシステムや決済手段が使用されるまでさらに1年以上かかる可能性がある。関係者によれば、現在は4つのコンソーシアムが申請準備を進めているが、31日の期限までに増える可能性もあるという。

 4つの連合が競う

 コンソーシアムの一つは、アマゾン、ビザ、地場銀行大手ICICI銀行とアクシス銀行、そしてフィンテックのパインラブス、ビルデスクで構成される。富豪ムケシュ・アンバニ氏のリライアンス・インダストリーズ率いる別のグループには、提携先としてフェイスブックとアルファベット傘下のグーグルが名を連ねている。両社はともに昨年、リライアンスのデジタルサービス部門に100億ドル余りを拠出することで合意している。

 ペイティーエムのシャルマ氏が率いるグループには、配車サービス印最大手オラなど6社以上が参加。4つ目のグループは印財閥大手タタ・グループ、マスターカード、印携帯電話事業最大手バーティ・エアテルに加え、コタック・マヒンドラ銀行とHDFC銀行から成る。

 決済ネットワークの運営免許を付与されたコンソーシアムは、国内決済ネットワーク会社であるインド決済公社(NPCI)と競合することになる。50行以上の商業銀行が出資するNPCIはインドのリテール決済と決済システムを運営する唯一の草分けとなる包括的組織で、リアルタイムの送金を可能にする銀行間支払いシステム「UPI(統一決済基盤)」を構築した。16年に稼働したUPIは、ユーザーが自分の電話番号を銀行口座にひも付けることで、デジタル決済の分野を勢いづけた。これを機に、アプリを介した送金と受け取りがテキストメッセージの送信と同じくらい簡単になり、最小限のコストで大規模で大量の取引が実行できるようになった。(ブルームバーグ Saritha Rai)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus