海外情勢

米、23年末までゼロ金利 緩和政策を維持「証拠なければ動かず」

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は17日の会合で、現在の金融緩和政策の継続を決めるとともに、2023年末までゼロ金利政策が続くとの見通しを示した。長期金利上昇で市場が不安定化する中、記者会見したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済が新型コロナウイルス禍から完全に立ち直ったとの明らかな証拠が示されるまで利上げしないと繰り返し強調。事前にインフレ予防に動く従来路線と決別し、昨年発表した新たな政策枠組みに移行する重要な転換点となる。

 GDP予想上方修正

 FOMCは主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0~0.25%で据え置くことを決定した。また参加者は、少なくとも23年いっぱいは金利がゼロ付近で維持されると引き続き予想。一方で今年の国内総生産(GDP)を前回予測の4.2%増から6.5%増へと上方修正。失業率は21年末で4.5%、23年には3.5%にそれぞれ低下すると予想した。市場関係者の間にはインフレに対する懸念が強まっている。

 声明と同時に発表された経済予測では「23年末までに利上げが実施される」と予想したFOMC参加者が18人中7人と、昨年12月(17人中5人)に比べやや増えたものの、パウエル議長は「なお少数意見だ。委員会の大半は、この予測期間中の利上げを見込んでいない」と強調。債券購入を通した量的金融緩和策の縮小について議論する時期は「まだ訪れていない」と指摘した。

 声明では「経済活動と雇用情勢を示す指標はここ最近に上向いたが、パンデミック(世界的大流行)による悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱(ぜいじゃく)だ。インフレ率は引き続き2%を下回っている」と説明した。

 FOMCは年内に見込まれる物価急伸について短期間にとどまると予想。経済予測によれば参加者らは、当局が重視するインフレ指標について21年は2.4%に急伸するが、来年は2%に鈍化すると見込んだ。

 声明発表後、米長期国債の利回りは1年ぶり高水準付近を維持。米株式市場ではS&P500種株価指数が上げに転じた。

 議長は最近の長期金利上昇の動きに触れ、「今後も緩和的な環境が維持されることが重要だ」「市場が無秩序な状況になれば懸念するだろう」とこれまでの説明を繰り返した。

 「過去からの決別」

 元FRBエコノミストで、現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏はパウエル議長について、「彼は強気に出た」とし、記者会見は「『新たな枠組みと現在行っていることに当局としてコミットしている』という、同じメッセージを何度も繰り返す演出だった」と指摘した。

 金融当局はこれにより、雇用とインフレをめぐる目標で「一段と顕著な進展」を示す証拠が蓄積されるまで量的緩和策を縮小することなく続けることを意味する。

 パウエル議長は「われわれがシグナルを発するまで、まだそこに至っていないと想定してもらって構わない。そこに近づけば、恐らくそれを達成してテーパリング(段階的縮小)を検討する軌道にあると、十分に前もって合図する」と語った。

 ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏はこうした言動について「過去の米金融当局の慣行からの明確な決別だ。当局はインフレ抑制で後手に回るリスクを取るつもりだ。彼らはこのようなリスクを特に深刻と考えておらず、それに伴うコストに関しても、経済成長を不必要に圧迫する場合のコストほどは大きくないと認識している」と述べた。(ブルームバーグ Craig Torres)

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