海外情勢

ワクチン外交でインドが中国に勝る 巨大設備で無償提供、供給量もリード (1/2ページ)

 インドと中国が新型コロナウイルス感染症(COVID19)の「ワクチン外交」という新たな主戦場でしのぎを削っている。当初は新型コロナを早期に抑え込んだ中国が優位に見えたが、ワクチン製造大国のインドはその巨大生産設備を武器に近隣諸国への無償提供を進め、実際の供給量では中国を上回っている。

 680万回分を出荷

 昨年感染拡大を抑え込んだ中国に対し、新型コロナ感染者数が世界有数のインドは1日当たりの新規感染者数が10万人近くに上り、全国的なロックダウン(都市封鎖)で経済は25年ぶりのリセッション(景気後退)に陥った。

 だが中国の製薬会社は世界の人々との信頼構築で不可欠な臨床試験(治験)の詳細を共有していない。また国内の新たな感染拡大で14億人の自国民向け接種を進める緊急性が高まり、実施に数年を要する可能性がある。一方のインドは、ネパールやバングラデシュ、スリランカといった近隣諸国に数百万回分のワクチンを出荷し、これらの国々が中国製ワクチンを待つよりも早期に接種開始できるようにした。

 インドは現在、英オックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカのワクチンを自国でライセンス生産し、出荷しているほか、バラット・バイオテック・インターナショナルが国内開発したワクチンを治験用に輸出している。

 インド製ワクチンを接種したスリランカの野党議員、エラン・ウィクラマラトネ氏は「彼らからの贈り物によりスリランカは迅速にワクチン接種をスタートできた。スリランカ人の大半が感謝するだろう」と話す。

 新型コロナは世界の大国を目指すインドの願望を引き寄せる外交上の好機をもたらした。ワクチン生産大手セラム・インスティチュート・オブ・インディアを中心とした国内製薬業界がインドを発展途上国に必要不可欠な医薬品の主要供給元としての地位を築き、今やインドは中国の影響力拡大に対抗できるようになった。

 インド政府はこれまで、首尾よく約680万回分の無償ワクチンを世界中に出荷してきた。ブルームバーグが公に入手可能な情報をまとめたところ、中国政府は約390万回分の供与を約束しているが、その一部はまだ到着していない。

 10億人以上の自国民へのワクチンが必要なインドで、政府は自国民を優先していると強調している。ただ、国内のワクチン製造能力は常に、自国民向けの接種能力を上回っており、指導者らが友好国の獲得や海外への影響力拡大に数百万回分の余剰ワクチンを供給できる状態にある。

 競争で世界に恩恵

 欧米の製薬会社が感染拡大の封じ込めに苦戦する富裕国におおむね焦点を当てる中、多くの貧困国は少なくとも接種計画の一部を中国とインドからの無償提供と購入に頼ることになる。

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