海外情勢

米2兆ドルインフラ支出、大統領公表へ 法人増税などで財源拠出

 バイデン米大統領は31日、訪問先のペンシルベニア州ピッツバーグで、インフラ支出の大幅増強計画を公表する。かつて製造業の拠点だった同市について、医療やITなど新たな産業によって再生を果たした典型例とホワイトハウスは位置付ける。

 「ジョブズ・プラン」

 ホワイトハウスが「アメリカン・ジョブズ・プラン」と呼ぶこの大型インフラ・雇用創出計画は、バイデン大統領が3月初めに署名した1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策案に続くものとなる。

 関係者によると、ディース国家経済会議(NEC)委員長は3月30日、議会民主党幹部や各委員会の長らに対し、包括的なインフラ計画は8年間で約2兆ドル規模に上ると説明した。別の関係者によれば、現行で21%の法人税率を28%に引き上げることや、世界的に事業展開する企業利益に最低課税を導入することなどで計画の財源を拠出し、15年間で費用をカバーする。

 米紙ワシントン・ポストはバイデン政権のインフラ・雇用計画が総額2兆2500億ドルに上ると報じていた。

 バイデン政権は労働者層が中心の都市や町に新たな雇用の機会を提供し、ピッツバーグと同様の転換を果たすことを期待している。大統領の計画では道路や橋梁(きょうりょう)、空港など従来のインフラ整備はもとより、送電網の更新や家庭・学校の鉛菅交換、商業ビルの改修と耐候性化など、重要度が高いにもかかわらず長年軽視されてきた事項に加え、高速ブロードバンドの整備、さらには高齢者介護や住宅、製造業への資金拠出も包括的に盛り込まれる見通しだ。

 大規模で対象広く

 米国のインフラ整備は前回2015年に成立した陸上交通修繕法(FAST法)により、道路や鉄道インフラに5年間で3050億ドルの予算がつけられた。だが今回の提案は同法よりもはるかに大規模で対象範囲が広い。

 一方、バイデン政権は今春中に、幼児教育や医療への財政支援およびコミュニティーカレッジの学生向け資金の拡充と合わせて、育児・介護支援に重点的に取り組む長期経済計画第2弾を公表する方針だ。

 ホワイトハウスは共和党との協力に努める方針を表明しているが、バイデン大統領の支持者らは、どちらの長期経済計画も議会超党派の支援を得られるとは期待していない。富裕層向け増税や法人税引き上げは共和党や企業団体には受け入れ難い。彼らが増税を非難し、民主党内急進派が一段と大型の支出計画を進めようとする中で、バイデン政権は政治的にはインフラ計画における党内の結束維持に尽力する必要がある。

 同党の急進派からすると、今回の包括案の大部分を議会で通過することができれば、公民権法を実現したジョンソン大統領、あるいは社会保障年金制度を創設したルーズベルト大統領といった偉大なる先達に匹敵する成果をバイデン氏が挙げることもあり得る。

 左派寄りのシンクタンク、米経済政策研究センター(CEPR)のシニアエコノミスト、ディーン・ベイカー氏はバイデン政権のインフラ計画について、「ジョンソン元大統領が提唱した社会福祉計画“偉大な社会”以来見たことのないやり方で、真の変革をもたらすものだ」と評価している。(ブルームバーグ Nancy Cook、Billy House)

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