海外情勢

米金融で悩める若手“P世代” 過剰労働文化に不満「なんてひどい生活」

 米金融業界の若手社員が労働環境への不満を募らせ、金融大手各社が対応を迫られている。

 マニンダー・サクデバ氏はJPモルガン・チェースのロンドンの投資銀行部門に所属する新米アナリストだ。現在は両親の家の屋根裏部屋でラップトップを使って仕事をしている。同時に、1日16時間の労働を撮影したビデオブログも作成している。

 サクデバ氏は朝目覚めるとまず電子メールに返信し1日の仕事のリストを作成、同僚に電話してから着替える。数時間後にカメラに向かい、ポジティブな口調で仕事について語る。しかし、同氏のビデオは最も新米の金融業界労働者の苦労も捉えている。

 「なんてひどい生活」

 彼らをウォール街の「ジェネレーションP」と呼ぼう。Pは「パンデミック(感染症の大流行)」のPだ。世界の資本主義の金持ちなエリートとなることが約束された幸運で頭のいい人々だが、先の世代が驚くことに、このグループの多くのメンバーが既に、疑問を持ち始めている。長い労働時間、胃が痛くなるようなストレス、退屈な仕事、将来は高くなるが当初は年16万ドル(1770万円)程度の報酬。

 新型コロナウイルス流行で在宅勤務が広がる中、世界の金融業界の過剰労働文化が意外な形で表面化した。ゴールドマン・サックスの若手アナリストらによる最近の社内プレゼンテーションがインターネット上に流出すると、ウォール街は大騒ぎになった。JPモルガンとゴールドマンを含む複数の金融機関が仕事量を減らすと約束。ただ、オフィス勤務に戻った後はそれがどれだけ続くか、多くの人が疑問視している。

 サクデバ氏がユーチューブに投稿した今年初めごろからのビデオはウォール街の仕事文化に関する問題を浮き彫りにする。「これが健康的だとは思えない」「この仕事のスケジュールはむちゃくちゃだ」「なんてひどい生活だ」など。

 JPモルガンの担当者とサクデバ氏はコメントを拒否した。

 ジェネレーションPの金融マンやアナリストは働くのが嫌いというわけではないだろう。しかし、在宅勤務でマンハッタンやロンドンの熱狂的な雰囲気に触れることもなく、上司や先輩からの指導も電子メールと電話、ビデオ会議ばかり、仕事の後の一杯で同僚と触れ合うこともないことが、不満の理由になっている。

 いかに業界離れるか

 同時に、業界は活況で仕事は多い。そんな中でメッセージボードにはどうやって業界を離れるかについての書き込みが増えている。ジュニアバンカーの人材紹介を手掛けるダートマス・パートナーズのローガン・ナイデュ最高経営責任者(CEO)は「自然減が加速している。人材をつなぎ留めるのは容易でない」と話す。

 一方、キャリア指導員で報酬コンサルタントのステーシー・ハウリー氏は「人々が気持ちを発散させるのをパンデミックが困難にした」と述べた。レストランでの食事やジムでの運動ができないことなどを指摘し、「活動が再開され気候も良くなれば事態は改善するかもしれない」と話した。(ブルームバーグ Jennifer Surane、Hannah Levitt)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus