国内

子供政策、アピール合戦 衆院選にらみ各党議論加速

 衆院議員の任期満了(10月21日)まで半年となり、各党が虐待、貧困など子供をめぐる課題への対応について議論を加速させている。自民党が子供に関する問題を一元的に所管する「こども庁」の創設に動き出したことに触発された形だが、近づく次期衆院選をにらみ、「アピール合戦」の様相も呈している。

 「子供は日本の未来を創造する重要な方々だ。(衆院選公約の)柱の一つになることは間違いない」

 公明党の竹内譲政調会長は21日の記者会見でこう述べ、子供に関する政策を衆院選の主要政策に掲げる考えを示した。党内で14日に議論を開始した「『子どもの未来創造』特命チーム」の座長を自身が務め、5月中には政府への提言をまとめる方針だ。

 教科書の無償配布や児童手当の実現など、子供をめぐる課題に長年取り組んできた公明は「子供政策については政界をリードしてきた」(石井啓一幹事長)との自負が強い。ただ、菅義偉(すが・よしひで)首相が今月1日に自民に指示して始まったこども庁創設に関する議論では出遅れた印象が否めない。

 それだけに、「組織論」が前面に出る自民とは距離を置き、「形よりも中身」(公明幹部)として支援策の充実を議論の柱に据える。衆院選に向け、新味のある政策を打ち出せるかが課題だ。

 こども庁の創設を目指す自民が重視するのは、菅首相が就任以来掲げてきた「縦割り行政の打破」での成果だ。政策の立案や調整機能をこども庁に一元化する考えだが、文部科学省や厚生労働省など関係省庁の権限を移管することになり、激しい抵抗も予想される。

 13日に設置した「『こども・若者』輝く未来創造本部」は二階俊博幹事長が本部長に就き、厚労や文科の閣僚経験者ら重鎮が幹部に加わった。官僚側ににらみを利かせる狙いもあるが、「(省庁との)利害関係者が多ければ、議論が骨抜きにされかねない」(中堅)との懸念も拭えない。

 一方、立憲民主党も同日、子供政策の司令塔となる「子ども家庭庁」の設置に向け、ワーキングチームを立ち上げた。旧民主党が平成16年参院選で「子ども家庭省」の設置を公約に掲げ、検討を進めてきただけに、「10年以上遅れて自民党が言い出した。本当に遅れている」(立民・福山哲郎幹事長)として、対案の策定を目指す。(力武崇樹)

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