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大阪・ミナミ13地域に拡大 路線価コロナ禍で減額補正

 新型コロナウイルス禍がインバウンド(訪日外国人客)需要を直撃し、地価が大幅に下落したとして、国税庁は23日、大阪・ミナミの13地域で、路線価を減額補正したと発表した。昨年10~12月にこれらの地域の土地を取得した場合、相続税や贈与税の算定に適用される。補正は同7~9月分に続く2度目。前回の3地域に新たに10地域が追加され、エリアが拡大した。

 大阪国税局によると、補正の対象はいずれも大阪市中央区内で、心斎橋筋1、2丁目▽千日前1、2丁目▽宗右衛門町▽道頓堀1、2丁目▽難波1、3丁目▽難波千日前▽日本橋1、2丁目▽南船場3丁目-の計13地域。

 昨年10~12月の地価が同1月1日との比較で21~28%下落し、地価の8割程度となる路線価を下回った。この期間に13地域の土地を取得した場合、昨年7月に発表された令和2年分の路線価に0・90~0・98の補正率を掛け合わせ、納税額を算出する。

 路線価の減額補正は1月に続き2度目。この際は、心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目の3地域の土地を、昨年7~9月に取得したケースが対象だった。今回、3地域に近接する10地域が新たに加わり、ミナミの地価下落をより強く印象づける形となった。

 また、3地域の前回の下落率がいずれも23%だったのに対し、今回は道頓堀1丁目で28%、心斎橋筋2丁目と宗右衛門町で27%の下落率となり、さらに深刻化している。

 大阪国税局関係者は「インバウンドの増加でミナミの地価は急激に上昇していた。コロナ禍で大幅に減少しただけに、その反動も大きい」とみている。

 大阪学院大の相川真一准教授(不動産学)は、ミナミはインバウンド向けの商売に特化していると指摘した上で、「観光面での強みを残しつつ、地元の人にとっても利用しやすい街づくりが必要」と話している。

 ■路線価 毎年1月1日時点の主要道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額。国税庁が毎年7月に発表し、相続税や贈与税の算定基準となる。国土交通省が毎年3月に発表する公示地価をベースに、売買実例や不動産鑑定士の意見を踏まえて決める。公表後に景気変動などで地価が急落し、納税者に著しい不利益が生じることを防ぐため、公示地価の8割程度の水準としている。

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