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北拉致特別委2年ぶり質疑、間を空けず開催を 知恵出し合い責任果たせ

 拉致問題に関する質疑が11日、衆院の特別委員会でようやく実施された。外交が絡む性質上、拉致問題の解決には、行政権を持つ政府が一義的な任を負うが、国権の最高機関かつ唯一の立法府である国会で長らく論戦の場面がなかった事実も、十分に重い。

 2年ぶりとなったこの日の質疑では、拉致問題の解決に向けた具体的なスケジュールを示すように求める質問があった。各種啓発活動の在り方などを含め、国会には広く、政府施策をチェックする場としての位置づけがある。

 無論、立法府としての機能も重要だ。過去、拉致問題関連では、平成18年に北朝鮮人権法が国会審議を経て可決、成立した。拉致問題を「北朝鮮当局による国家的犯罪行為」とし、問題解決への最大限の努力が「国の責務」と明記。経済制裁発動などの根拠法となっている法律だ。

 そもそも、国会での議論は、それ自体、北朝鮮に日本の拉致解決への意志を示すメッセージとなる。今後、特別委員会については最低限、間をあけない開催が必須だろう。予算委員会などの場で拉致問題を取り上げることも可能であり、国会全体での活発な動きを期待したい。

 被害者家族は現状の停滞ぶりに厳しい目を向ける。

 横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(52)は、昨今の新型コロナウイルス対応の必要性を理解しつつ、「火事が起きている現場を、そのまま放置するようなことがあってはならない。拉致に右も左もなく、議員1人1人の行動力が試されている」。

 今回の質疑実施は、めぐみさんの父、滋さんが昨年6月に亡くなってから1年のタイミングと重なった。「アリバイ作り」などといぶかしがる声もちらつく中、知恵を出し合い、実効性のある取り組みを継続していくことが、求められる。(中村翔樹)

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