海外情勢

「日本との関係修復は避けて通れない」韓国のものづくり産業の"これから" (2/3ページ)

 韓国経済にとって対日輸入の重要性は

 次に、韓国の景気循環とわが国の対韓貿易収支の推移を確認し、韓国経済にとっての対日輸入の意義を考えよう。1988年以降、韓国総合株価指数(KOSPI)と月次の対韓貿易収支の相関性はかなり高い。

 韓国の景気が持ち直し株価が上昇する局面ではわが国から韓国への輸出が増加する関係が示唆される。特に、アジア通貨危機後の韓国経済にとって、わが国の微細かつ精緻なモノづくり力へのアクセスの重要性は時間の経過とともに高まっている可能性がある。

 1997年11月に韓国は国際通貨基金(IMF)に支援を申請し、金融システムの安定化や、経営体力が低下した財閥の整理を進めた。1998年秋口にはKOSPIが底を打った。その後、2007年秋口までKOSPIは上昇トレンドを保った。

 その状況下におけるわが国の対韓輸出を確認すると、1998年1月に対韓貿易収支は赤字に陥ったが、翌2月には黒字に戻った。その後、徐々に対韓輸出の構成品目に変化が現れた。

 アジア通貨危機を境に変化を遂げた

 その一つが化学製品の緩やかな増加だ。対韓輸出に占める化学製品の割合は1988年1月時点が約14%であり、アジア通貨危機直後までおおむね10%台前半だった。その後、1998年秋口ごろから化学製品の対韓輸出は徐々に増加し、2000年代に入ると増加が勢いづいた。その背景には、次のような韓国経済の変化があった。

 1990年代、サムスン電子は東芝からNAND型フラッシュメモリーの技術供与を受けた。それは、アジア通貨危機後の韓国経済の回復と成長を支えた重要な要素だ。また、アジア通貨危機の発生によって韓国では、サムスン電子など一部財閥系大手企業に経営資源がより集中した。

 つまり、アジア通貨危機を境に、サムスン電子などは、それまでのわが国からの技術移転を活かしてメモリ半導体や家電の大量生産体制を強化し、価格競争力を発揮し、米国のIT先端企業の成長などを追い風に半導体などの輸出を増やした。

 そのために、原材料や生産工程で用いられる部材としてわが国の化学製品への需要が高まったと考えられる。なお、アジア通貨危機の発生を境に、一時は対韓輸出の3割程度を占めるに至った一般機械のウェイトは低下した。しかし、2015年頃からは半導体関連の装置需要が高まり、韓国向けの一般機械輸出は増加に転じた。

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