海外情勢

「日本との関係修復は避けて通れない」韓国のものづくり産業の"これから" (3/3ページ)

 ファウンドリー事業で先頭に立ちたいが…

 以上から、わが国の対韓輸出は、より微細な素材(化学製品)やより精緻な機械にシフトしてきたことが分かる。今後、その傾向はより鮮明となる可能性がある。

 足許、韓国の半導体メーカーはファウンドリー事業をより重視しているようだ。サムスン電子はファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)とのシェアの差を縮めたいようだ。SKハイニックスもファウンドリー事業の強化を重視しているとみられる。その背景には、中長期的なメモリとロジック半導体の需要拡大期待があるだろう。

 その一方で、TSMCは前工程で重要な微細化技術に加えて、検査や組み立て専業メーカーが担当してきたパッケージングなど後工程技術の向上に取り組んでいる。世界的に半導体の不足は深刻であり、その状況が2023年ごろまで続く可能性がある。TSMCは半導体生産の総合力に磨きをかけ、シェアの拡大を目指していると考えられる。

 韓国勢がファウンドリー事業に取り組むためには、微細化だけでなく後工程で必要な部材や装置(機械)の調達力を高めなければならない。自社ブランドでのメモリ半導体生産も行うサムスン電子とSKハイニックスにとって、台湾勢よりも有利な立場でわが国から半導体の部材や製造装置を調達できるか否かは、事業戦略を左右する要素だろう。

 対日関係を見直すべき時期に来ている

 それは、わが国経済に大きなチャンスをもたらす可能性がある。わが国にはシリコンウェハー上に形成された回路の研磨、切り出し、さらには検査などを行う装置分野で世界シェアを持つ企業が集積している。化学製品に加えて、機械やシリコンウェハーなどの対韓輸出は一段と増加する可能性がある。

 対韓直接投資にも同じことが言える。米国が自国内での半導体生産の増加を重視しているとみられることを加味すると、微細かつ精緻なモノづくりの力は、わが国経済が世界に誇る強みだ。

 今後、サムスン電子などは中芯国際集成電路製造(SMIC)をはじめ中国半導体メーカーの追い上げにも対応しなければならない。中長期的な展開を考えると、韓国企業にとって対日貿易環境の修復、安定、強化をどう目指すかは避けて通れない問題といえる。逆に、わが国は官民の総力を挙げてモノづくりの力を磨き、さらなる発揮を目指すべき時を迎えている。

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 真壁 昭夫(まかべ・あきお)

 法政大学大学院 教授

 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。

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 (法政大学大学院 教授 真壁 昭夫)(PRESIDENT Online)

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