国内

新・立民1年「批判の受け皿」思惑外れ看板政策見えず

 旧民主党勢力が結集した新・立憲民主党の結党から15日で1年を迎える。立民は菅義偉首相の新型コロナウイルス対応への批判の受け皿となる戦略をとってきたが、首相の退陣表明で思惑は外れた。一方で衆院選に向けて自民党の対立軸となる看板政策を打ち出せていない上、政権担当能力もアピールできず、支持の広がりを欠いている。

 枝野幸男代表は13日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期導入などの政策を発表した。自民との差別化を意識し「いずれも党として決定しており、党をあげて推進できる。党として決定できない自民との決定的な違いだ」と強調した。

 自民総裁選に注目が集まる中、立民は先週から具体的な政策の発信を始めた。ただ、旧民主は平成21年の衆院選の前年から「子ども手当」や高速道路無料化といった具体的な目玉政策を掲げ、浸透を図っていた。

 枝野氏は5月発売の著書や6月の衆院本会議演説で「支え合う社会」との理念を訴えてはいたが、メッセージの分かりにくさに加え、有権者の関心はコロナ対策に向き、十分に浸透しなかった。今月12日のインターネット番組では「医療、介護、子育て、雇用の不安を解消していくことが経済対策」と主張。「ずっと言ってきているのに、それが経済政策だと分からない人が日本では多い」と語った。

 旧民主政権幹部だった枝野氏、福山哲郎幹事長、蓮舫代表代行らが今も党の看板であることも、「政治の転換」を訴える中で有権者の期待感が高まりにくい一因となっている。8月21日、党の支持拡大を目指して始めたネット番組「りっけんチャンネル」の第1回も、この3氏の対談だった。

 ただ、立民は議員六十数人が旧民主政権で「大臣や副大臣、政務官を経験した」(福山氏)と安定感のアピールになると考えているようだ。枝野氏は9月6日のNHK番組で政府・自民のコロナ対応を批判し「私のほうは100点ではなかったが、10年前に危機管理の基本をしっかり踏まえ(東日本大震災に)対応した自負がある。どちらが命を守れるか選んでほしい」と言い切った。(田中一世)

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