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アメリカや台湾とは大違い…日本の各地でいまだにFAXが使われている本当の理由 (1/3ページ)

 新型コロナウイルスの対応を巡り、日本の基礎自治体の「デジタル化の遅れ」が明らかになった。”日本のインターネットの父”とうたわれる慶應義塾大学の村井純教授は「日本の役所はやさしすぎる。『メールだと見られない人がいる。だから、郵便でも送っておこう』となる。それがデジタル化の足を引っ張っている」という――。

 ※本稿は、村井純、竹中直純『DX時代に考えるシン・インターネット』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。

 ■「地デジ化」くらいのやる気がなければデジタル庁はうまくいかない

 【竹中直純(以下、竹中)】“日本のインターネットの父”と呼ばれる村井純さんが内閣官房参与や「デジタル・ガバメント閣僚会議」のワーキンググループの座長になったことで、デジタル庁の初代長官になるんじゃないかという話が出ていましたよね。

 【村井純(以下、村井)】誰に頼むべきかというリストの話に出ていたことは聞いているよ。でもね、菅義偉首相が「マイナンバーカードの銀行口座の紐づけ」や「デッドラインをきちんと決めてそれまでにやる」とか、以前から俺が話していたことをしっかりと発言しているんだよ。そうすると、俺はもう必要ないんだ。

 【竹中】そうなんですか(笑)。

 【村井】しかも、今や政府のIT政策のリーダーたちは、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の出身が多くて、首相が「みんな先生のお弟子さんですね」って言っていた。彼らもいるから、本当に安心できる部分がある。

 【竹中】デジタル庁は、2021年の9月の発足を目指していますよね。

 【村井】そう。だから、俺としてはまずはそこまでが勝負だと思っている。2011年7月24の「地上デジタル放送への完全移行」は、我が国の歴史上のものすごいDX(デジタルトランスフォーメーション/デジタル技術によるビジネスモデルの変革)で、各省庁、地方自治体、ボランティアがみんなで力を合わせて、ビル影の電波障害とかいろいろな説明をして、全国民に約10年かけてデジタル放送とそれに対応するテレビに替えてもらったんだけど、あの時と同じくらいのやる気がなかったら、デジタル庁を創ったって上手くいかないよ。

 【竹中】では、まずはマイナンバーカードの銀行口座の紐づけからですか。

 【村井】いやいや、その前に役所でしょ。例えば、印紙があるとか、何度も同じ書類を書かせるとか、すべてのサービスがデジタル化されていない。あまりにデジタル化されていなくて、もうどこから手をつけていいかわからないくらい。だって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で「ワークフロムホーム(work from home/在宅勤務)」がいちばんできていなかったのは、霞が関の役所だよ。

 【竹中】そうですね。

 【村井】霞が関のデジタル化は国が主導すればできる。だから、最初は霞が関の“完全デジタル化”。そうしたら次に、都道府県と基礎自治体(市町村と特別区)をやらないといけない。霞が関だけデジタル化しても意味がないからね。そして、最後は民間なんだけど、民間はもうお願いしてやってもらうしかない。民間までデジタル化できたら、日本全部がデジタル化することになるからね。

 【竹中】素敵ですね。

 ■「教育」と「医療」のデジタル化を優先すべき

 【村井】そして、俺の提案は「教育」と「医療」だけは徹底してデジタル化してほしいということ。他の産業もたくさんあるけど、「農業もやりたい」「製造業もやりたい」って言い始めたらキリがないから。

 【竹中】なぜ、教育と医療なんですか?

 【村井】基礎自治体には、小学校、中学校、高校、そして保健所などがあるよね。それで、なぜ「教育」と「保健所」にこだわっているかというと、これは全部「災害対策」につながるからなんだ。大地震や感染症などの災害が起きた時に命を救うのは基礎自治体。体育館や校庭は避難所になる。そして、保健所は人々の健康を管理する。

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