疾風勁草

岸田文雄総理は有事の宰相たり得るか 問われる「断机」の覚悟 (2/2ページ)

高井康行
高井康行

 114票のかすかな光

 岸田総理に、安全保障環境の変化を冷徹に見通す力と、孫権のような「断机」の勇があるか。そこに、これから数年の日本の命運がかかっている。しかし、残念ながら、今の岸田総理に断机の勇が備わっているとは感じられない。そこに得も言われぬ不安を感じる。

 杏林大学名誉教授で外交評論家の田久保忠衛氏は、最近の産経新聞に寄せた論稿で、岸田総理の発言に対し「名状しがたい不安を抱いた」と率直に語られているが、激しく同感する。岸田政権発足時の支持率が40%台から50%台で期待されたほどでないことは、国民が、岸田総理の有事対応力に一抹の不安を抱いていることの表れと見ることもできる。

 ヒトラーのドイツが西方に向かって進撃を開始した1940年5月、首相をチェンバレンからチャーチルに変えることが出来たイギリスは不幸中の幸いだった。

 日本はどうだろう。総裁選で、114票の議員票が高市早苗候補に投じられたことが、かすかな光か。

高井康行(たかい・やすゆき)
高井康行(たかい・やすゆき) 弁護士、元東京地検特捜部検事
1947年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、1972年に検事任官。福岡地検刑事部長、東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任した。岐阜地検時代には岐阜県庁汚職事件を、東京地検特捜部時代はリクルート事件などを捜査。福岡地検刑事部長時代、被害者通知制度を始める。1997年に退官し、弁護士登録。政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めたほか、内閣府「支援のための連携に関する検討会」の構成員や日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。テレビや新聞でも識者として数多くの見解を寄せている。

【疾風勁草】刑事司法の第一人者として知られる元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行さんが世相を斬るコラムです。「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。アーカイブはこちらをご覧ください。

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