海外情勢

「中国不動産の連鎖倒産が止まらない」習近平政権を待ち受ける最悪のシナリオ (1/2ページ)

 ■“デフォルトの連鎖”の懸念が高まっている

 足許で、中国の不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)が、本格的な破綻に向かうとの懸念が高まっている。同社の米ドル建て社債の価格の推移を確認すると、2022年3月に償還を迎える債券も、2025年6月に償還を迎える債券も7~8割の債務減免を織り込んでいる。9月23日と29日に期限を迎えた2本のドル建て社債の利払いは実施されず、30日間の猶予期間に入った。

 中国の不動産業界では、エバーグランデ以外にもデフォルト懸念が高まる企業が増えている。中国経済は投資に依存した成長の限界を迎え、共産党政権の経済運営に対する不透明感が増している。返済能力が低下しデフォルト懸念が高まる不動産業者をどう救済、再編するかは共産党政権の意思決定にかかっている。

 今後、エバーグランデの経営破綻が、2008年のリーマンショックのような世界的な金融危機につながる可能性は低い。ただ、同社のデフォルトを発端に中国の不動産市況が悪化すれば中国国内の理財商品の価値は棄損され、経済の減速はより鮮明化するだろう。それは、世界経済にとって無視できないリスク要因だ。

 ■切羽詰まった中国の不動産市場

 中国経済の成長を支えた不動産市場は、かつての輝きを失い窮地に陥りつつある。その象徴の一つが、約33兆円の負債を抱えるエバーグランデのデフォルト懸念だ。重要なポイントは、エバーグランデ以外にも、資金繰りが逼迫して債務の返済能力への不安が高まる大手、準大手の不動産デベロッパーが急速に増えていることだ。状況は切羽詰まっている。

 9月には、物件販売面積で第4位の融創中国(サナック)の資金繰りが悪化し、同社が浙江省紹興市に支援を要請したとの観測が浮上した場面もあった。また、広州富力地産(ガンジョウR&Fプロパティーズ)や花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)などのデフォルト懸念も高まっている。報道によると、2021年の年初から9月5日までに中国では274社の不動産関連企業が経営破綻した。今後、デフォルト、あるいは経営破綻に陥る不動産業者、その取引先企業などは増加するだろう。

 ■資産バブルに沸いた80年代日本と似ている

 それは不動産や道路などのインフラへの投資によって経済成長を実現し、求心力を維持してきた中国共産党政権にとって重大な意味を持つ。エバーグランデなどの債務問題の深刻化は、借り入れを増やして投資を行い、それによって経済成長を目指す共産党政権の経済運営が限界を迎えつつあることを示唆する。不動産業界での債務問題の深刻化は、共産党政権の権力基盤を不安定化させる要因になりかねない。

 政治体制や金融システムの違いなどはあるが、足許の中国経済は、1980年代末、資産バブルの絶頂期を迎えたわが国経済の状況に似ている。わが国の教訓にもとづくと、共産党政権は不良債権処理を進め、必要に応じて金融機関などに資金を注入し、その上で新産業の育成に取り組まなければならない局面に差し掛かっている。不動産バブルの後始末に対応し、新産業の育成を進めることができるか否か、共産党政権は正念場を迎えていると言ってよい。

 ■「共同富裕」を掲げる習政権は救済するのか

 共産党政権の債務問題への対応は、共同富裕(国全体で平等に豊かになろうという考え)が大きく影響する。習近平政権はアリババや滴滴出行(ディディ・チューシン)など民間のIT先端企業の創業経営者への締め付けを強めている。それによって共産党政権は貧富の格差の拡大を食い止める姿勢を世論に示したい。特に、ディディに関しては一時、北京市人民政府が同社に出資し政府の管理下に置くことが検討されているとの見方が浮上した。

 共産党政権がエバーグランデを救済すれば、それは富裕層である同社創業者の許家印氏を助けることになり、世論の不満や批判を買うだろう。その展開を避けるために、共産党政権がエバーグランデ全体を救済することは考えられない。

 それよりもエバーグランデは共産党政権の指揮の下で事業を切り売りし、維持できる部分に関しては存続させるだろう。その場合、国有・国営企業、あるいは政府系の金融機関などが資産取得に参画することによって、エバーグランデの存続事業は政府の管理下に置かれる可能性がある。

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