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立民の経済政策、分配ありきと富裕層負担で対抗軸

 立憲民主党が13日に発表した衆院選公約で掲げた経済政策のキーワードは「1億総中流社会の復活」だ。所得再分配の強化で格差を是正し、国民の可処分所得を増やして消費を伸ばす-という狙いを込めた。ただ、自民党も総裁が岸田文雄首相に交代後、「成長と分配の好循環」や「分厚い中間層の再構築」を主張し、対立点が目立たなくなっている。立民は先に分配ありきの「分配なくして成長なし」や、富裕層・超大企業への課税強化を唱え、対抗軸をアピールする。

 枝野幸男代表は記者会見で、実体経済が成長しない理由として、経済政策「アベノミクス」では成長と分配の好循環が起きず、「富の偏在、格差の固定化」を招いたと指摘。「それを繰り返す自民党なのか、成長していない原因に切り込み、適正な富の再分配を行う立民(を選ぶの)か」と違いを強調した。

 低所得者層や中間層に配分する「富」の財源は、富裕層や超大企業の「応分の負担」(枝野氏)とする。法人税や所得税のほか、金融所得への課税を強化。税率については11日の衆院本会議で「30%を視野に、2023(令和5)年度までに原則25%に引き上げる」と明言した。ただ、大企業や富裕層への課税強化は国内の投資や雇用減少、企業の海外移転を招き、経済にマイナスとの懸念もある。

 また、時限的な消費税減税などには、実現性を疑問視する声や「バラマキ」批判が付きまとう。枝野氏は「財政規律は大事だが、それよりも目の前の命と暮らしと経済を守らなければならない」と強調した。

 一方、公約には憲法問題の記述がなかった。枝野氏は「コロナ禍でそんなところに膨大な政治的エネルギーを使っている余裕はない」と説明した。国の根幹に関わる憲法への考えを示さないまま、政権交代を唱える姿勢は疑問だ。(田中一世)

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