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コロナ禍選挙、有利は現職か新人か 1692選挙分析

 14日に衆議院が解散し、19日の公示、31日の投開票に向けた事実上の選挙戦が始まる。今回は新型コロナウイルス禍での初の総選挙となるが、新型コロナは選挙結果にどんな影響を及ぼすのか。過去4年間に全国で行われた首長選の結果を分析したところ、新型コロナの感染拡大を境に新人が現職を破る確率が高まっていることが分かった。識者は「選挙戦の変化に適応できているかどうかが勝敗を左右している」と指摘する。(竹之内秀介)

 全国の知事選や市区町村長選での新人の勝率を調べるため、選挙情報サイト「政治山」を利用し、平成30年から令和3年10月現在までに結果が判明した1692選挙を集計した。

 総務省が各都道府県の選挙管理委員会に初めて新型コロナ対策を呼び掛けた昨年2月26日から今月10日までの間、投開票を迎えた首長選は718回あった。このうち現職と新人(元職含む)が対決したのは328回で、新人の勝率は28・0%。平成30年(25・1%)と令和元年(22・2%)の勝率をいずれも上回った。

 半年ごとの平均値で見ると、平成30年下半期から令和元年下半期まで17~23%で推移していたが、令和2年上半期は30・4%に急上昇。その後も同年下半期は28・1%、今年上半期は26・8%と、新型コロナ感染拡大前に比べて、比較的高い状況が続く。

 新型コロナの感染拡大当初、一部の首長の間では「有事の際は政策の継続性や安定感を求める声が高まる」「コロナ禍では選挙戦が盛り上がりにくく、新人の知名度向上は困難」などとして、コロナ禍が現職有利に働くといった予測も浮上していた。

 新人が善戦している理由として、地方選挙に詳しい東北大の河村和徳(かずのり)准教授(政治学)は「人を大勢集める組織戦をやり辛い環境になり、組織票に頼ってきた現職の不利に働いている可能性がある」と推測する。コロナ禍では各地の選挙の様相が一変した。「密」を回避するため、後援会や支持団体の動員力を最大限発揮できる大規模集会は開催を自粛したり、参加人数を制限せざるを得なくなったりしたためだ。昨年夏に市長選を経験した埼玉県のある市長は「市民に感染対策を呼び掛けている立場なので、スタッフと相談して出陣式などのイベントはほとんど中止した。制約が比較的緩い新人がうらやましかった」と漏らす。

 衆院選と地方選挙では異なる要素もあり「善戦する新人、苦戦する現職」という構図は単純に比較できないが、河村准教授は「コロナ禍を機に、これまで政治に関心を持っていなかった人たちも投票するようになった。浮動票の存在がより大きくなった」と指摘。「従来の組織票にあぐらをかかず、インターネットやSNSの活用といった『サイバー戦』にも適応し、貪欲に支持拡大に取り組んできた候補が衆院選でも選挙を有利に展開するのではないか」と分析している。

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