2010.3.9 05:00
□ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)代表取締役兼CEO 森辺一樹
中国のインターネットユーザーは3億4000万人を超え世界第1位だ。米国が約2億2000万人。日本が約9000万人であり、それらと比較しても大きく突き放している。中国のインターネットユーザーは、世界のインターネットユーザーの約3割を占める。
注目すべきは、中国には既に3億4000万人ものネットユーザーがいるにもかかわらず、その普及率が25%程度であることだ。アメリカや日本は70%以上の普及率であり、もう天井まで迫っている。しかし、中国にはまだまだ伸びしろがあるのだ。
中国ネットワークインフォメーション(CNNIC)の報告によると、中国のインターネット利用用途の1位は音楽で全体の85.5%のユーザーが活用している。2位がニュースで78.7%。3位がインスタントメッセンジャーで72.2%という。4~8位までが、検索、動画ストリーミング、電子メール、ブログ、フォーラム・BBS(電子掲示板)と続く。そして、今後最も成長を期待されているのが9位のネットショッピング(EC)だ。
中国国務院によると、中国でインターネットを通じ買い物をする人は2009年に1億2000万人を超えた。その金額はまだ中国の小売市場全体のわずか1%であるが、1兆8000億円を超えている。対前年比で約130%の成長だ。11年には、2億1000万人を超えると予測されており、その額は8兆円に達する。この市場で活躍する主なECプレーヤーは、淘宝網(Taobao)、易趣(eachnet)、当当網(dangdang)、卓越(Amazon)などがある。
この巨大な中国のネットショッピング市場に日本はどう向き合うべきか。
日本企業が日本にいながら中国向けECサイトを制作し、商品を掲載したところで、まったく成果は出ない。サーバーの設置が日本であれば、中国からのアクセススピードは格段に落ちる。逆に中国にサーバーを設置するとなれば、インターネットコンテンツプロバイダー(ICP)の取得が必要だ。
ただ、ICPを取得するには中国に現地法人が必要となる。また、ICPもECなどの営利性の高い分野は外資企業にはまだ開放されていない。ハードルはこれだけではない。アクセスを集めるには、相当なノウハウと広告費が必要だ。また、コールセンターや物流拠点、決済システムは確実に必要となる。日本からEMS(国際スピード郵便)や海外小口配送で商品を送っていたのではビジネスとしては論外だ。
さらに、中国のECユーザーは、ショップで実物を確認してからECで購入する傾向が強い。実物が見られないモノをECで買うことは期待できない。ECと言っても中国の場合、ワンクリックでモノを買わない。必ず電話やインスタントメッセンジャーでの問い合わせがある。その対応で、購入するか否かが大きく左右される。これらの課題をすべてクリアできなければ、いくら中国語のECサイトを作ったところで無駄になる。“日本製だから売れる”はまったくの間違いだ。
現段階では、ECサイト運営事業者であれば、安易に中国進出をすることはお勧めできない。そもそもECは米国発であり、中国企業はECを米国から学んでいる。日本企業がわざわざ中国でEC運営をすることの優位性がどこにも見当たらない。参入を考えるなら、中国EC企業への資本参加か買収がベターだ。出店者であれば、中国企業が運営するECサイトへの出店をすべきだろう。
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≪ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)≫
中国、インド、東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。ホームページはhttp://www.sdigrp.com/