東証の夜間市場、業界で賛否 ネット証券前向き、大手は慎重

2013.12.11 06:26

 東京証券取引所が検討している夜間取引市場について、業界内で賛否が鮮明になっている。ネット証券大手の松井証券は10日、開設を求める要望書を東証に提出した。同社のアンケートでは、個人投資家の約8割が、「夜間市場を利用したい」と答えたという。一方、店舗を持つ大和証券グループ本社の日比野隆司社長は先月、否定的な見解を示した。

 松井証券の和里田聡常務が10日午後、東証の土本清幸常務に要望書を手渡した。要望書は松井道夫社長の名で「日中に取引を行うことができなかった個人の取引機会を拡大するものとして、広く受け入れられる可能性が高い」と開設を求めた。同社が先月、約1万8000人から回答を得たアンケートで、「ぜひ利用したい」という回答が全体の47%、「どちらかというと利用したい」が32%を占めたという。

 同社は「個人投資家の大勢は夜間取引の導入を望んでいる」と強調する。

 夜間取引をめぐっては、同じくネット証券大手の楽天証券も先月、個人投資家にアンケートを実施。約4000人が回答した中で、9割近くが夜間市場の利用に前向きに答えた。理由を複数回答で聞くと、58%が「昼間は仕事などでリアルタイムでの売買ができないので、夜間に売買したい」との選択肢を選んだ。

 これに対し、大和の日比野社長は先月の経営戦略説明会で夜間市場の開設について聞かれ、「切迫したニーズも必然性もない。慎重に検討していただきたい」と述べた。店舗を持たないネット証券はコールセンターの開設時間を延ばすことなどで対応は容易だが、対面による営業を重視する証券会社は営業時間の延長などコスト増要因となる。「海外の主要市場でも、夜間に活発な取引がされているケースはない」(証券関係者)と否定的だ。

 東証を傘下に持つ日本取引所グループの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は先月末の定例会見で、「証券会社や投資家のニーズを確認しているところで、まだ何の結論も得ていない」と話している。

閉じる