インドネシア、日用品大手が生産拡大 経済減速懸念も巨大市場に魅力

2014.1.8 06:00

 経済の減速懸念が浮上しているインドネシアで、食料・日用品の世界大手が相次ぎ生産を拡大している。2013年は米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が1億ドル(約104億円)、スイスのネスレが2億ドルを投じて同国に新工場を建設、そろって追加投資の方針を打ち出している。背景にあるのは、人口2億4000万の巨大な消費市場への期待感だ。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。

 インドネシア中央銀行によると、同国の経済成長率は12年まで3年続いた6%台から13年には5.6%に減速し、14年も5.7%程度にとどまる見通しだ。しかし、P&G幹部は「どの国の経済も浮き沈みはある。インドネシアへの投資は長期的視野に立ったもので、将来的に実を結ぶと期待している」と述べ、同国での生産拡大方針に変更はないと明言した。

 同社は昨年1億ドルを投じ、西ジャワ州カラワンに紙おむつブランド「パンパース」を製造する第1工場を完成させた。今後は1億ドルの追加投資でカラワンに第2工場を建設する予定だ。第2工場は東南アジア地域で同社最大級の工場となる予定で、17年に稼働を開始する。

 P&Gの現地法人幹部は第2工場での生産品目は未定とし、「今後調査を行い、需要が大きい複数の製品を生産したい」と述べた。インドネシアではここ数年、平均400万人のペースで人口が増加しており、生産は育児関連製品が有力とみられている。

 また、ネスレもP&Gと同様に、西ジャワ州カラワンに新工場を建設した。同社幹部はインドネシアの経済減速について「依然として商機は十分にある。インドネシアは有望市場だという見方は変わらない」と述べ、さらなる追加投資を行う姿勢を示した。

 同社は現在、インドネシア国内で4工場が稼働中。日本でも有名なインスタントコーヒー「ネスカフェ」や粉末麦芽飲料「ミロ」などを製造・販売している。

 国際的な市場調査会社CEICデータによると、インドネシアの個人消費は05年から11年に約2.5倍へと拡大。1人当たり国内総生産(GDP)は12年に3500ドルを超えた。同国の人口増と所得上昇は当面続くとみられており、今後も巨大市場をめぐる食料・日用品各社の活発な動きは続いていきそうだ。(シンガポール支局)

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