“拝金主義”中国女性の婚活 「浮気な金持ちのBMWに泣いて乗るほうがまし」

2014.1.22 12:00

 急速に少子高齢社会に向かう中国で婚活ブームが起こっている。男女に出会いのきっかけを提供するテレビ番組や、結婚相手を紹介するインターネットサイト、お見合いパーティーなどが人気を呼んでいるほか、週末の公園などでは、子供たちの釣書を持った親たちが参加するお見合い大会などが開かれている。晩婚化、非婚化の波が押し寄せている中国でも、結婚に対する焦りとあきらめが錯綜(さくそう)している。(木村成宏)

 拝金主義の男女が集う“婚活番組”

 「笑顔で貧乏人の自転車に乗るより、浮気な金持ちのBMWに泣きながら乗るほうがまし」「男性は月収が20万元(約240万円)以上ないとダメ」

 現地メディアなどによると、中国では数年前から、各地のテレビ局が次々と放送しているお見合い番組を放送している。人気の火付け役となったのが、出演女性の拝金主義的な発言などが反響を呼んだ江蘇衛星テレビの番組「非誠勿擾」(誠実でない人お断り)だ。

 2010年から放送を開始した番組では、結婚願望がある24人の女性が出演。自己紹介や一発芸を行うなどしてアピールする男性を結婚対象とするなら、テーブルの上のランプを点灯させる仕組みで、最後までランプを点灯させていた女性に男性が意思表示すれば、カップル誕生となる。

 出演者は幅広く、男性は会社経営者や大学教授、会社員、出稼ぎ労働者、女性側はモデルやシングルマザーのほか、中国在住日本人ら外国人、在外華僑ら。親子や双子の出演もある。

 「八〇後」と呼ばれる1980年以降生まれの女性出演者たちは、ハイヒールにミニスカート姿や、時にはナース姿などのコスプレで登場。中国の伝統的な結婚観をひっくり返すような発言を繰り返した。

 男性出演者の家族からも、農村出身者や出稼ぎ労働者を見下すような発言も飛び出し、ネット上では「物質主義」「拝金主義」などの批判が続出した。しかし、批判が高まるほど、番組の人気が出たという。

 こうした拝金主義的な風潮に対して、中国メディアを管轄する国家広電総局が規制に乗り出し、結局、番組内容は大幅に修正された。ネット上で「宝馬(BMW)女」と称された拝金主義的な出演者の発言は無くなったが、今でも同種のお見合い番組の人気は高いとされる。

 求む結婚相手 5千万人登録の運営会社も

 中国では、適齢期の男女が新聞や雑誌などのメディアに、自分の身上や希望などを添えて、結婚相手を募集することを「征婚」と呼ばれるが、インターネット上のお見合いサイトも次々に登場している。

 なかには公表している登録ユーザーが5千万人で、米国のナスダックに上場を果たしたサイト運営会社もあるなど活況を呈している。

 北京や上海などの都市部の公園では、適齢期の男女が結婚相手を探すお見合い大会がしばしば開かれているが、息子や娘に代わって結婚相手を探す親たちも多く参加しているという。

 親たちは子供の身長や学歴、住宅の有無などを書いた「釣書」を足下に置いたり、張り出したりして互いに情報を交換。親が気に入れば連絡先を交換して、子供同士で見合いをさせる。

 子供の了解を得ないままに無断で代理参加し、首に子供のプロフィルを書いたカードをぶら下げて、次々と声をかけていく高齢の女性もいる。

 一生ローンの奴隷

 結婚適齢期を迎えた男女は1億8千万人ともいわれる中国。だが、一人っ子政策で男子を欲しがる風潮から2012年の男女の比率は女性100に対して男性118となっており、20年には3千万人の男性が生涯、結婚できないとの指摘もある。

 中国では結婚の際には男性側が住宅を用意するのが当然とする考え方が強いが、近年の住宅価格の高騰が結婚の新たな障害にもなっている。

 過去20年間で価格が30倍になった区画もあるという北京などの都市部では、「天価住宅(天に届くほど価格が高い家)」「一生房奴(一生ローンの奴隷)」などの流行語ができるほどで、家を買えず、結婚をあきらめるケースも増えている。

 女性の側も社会進出が進んだ結果、結婚観が変化。男性により高い収入や学歴などを望む傾向も強まり、日本と同様に晩婚化、非婚化の波が押し寄せている。

 一方、さまざまな障害を乗り越えて目立てくゴールインしたとしても、離婚するカップルが急増している。民生省の統計によると、中国では昨年、1324万組が結婚する一方で、310万組が離婚。離婚率は10年前からほぼ倍増しているという。 

 中国共産党は2013年11月、30年以上続けた一人っ子政策の緩和を発表、少子高齢化対策をうち出し始めた。大阪市が打ち出している新婚・子育て世帯に向けた支援策などと同様、問題の根本的な解決にはほど遠い。

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