インドネシア建設市場拡大 10%成長、3兆5000億円見込む

2014.1.24 07:40

 インドネシアは巨額のインフラ整備で建設市場の拡大が続いている。同国公共事業省によると、今年のインドネシアの建設市場規模は昨年比で10.2%拡大し407兆ルピア(約3兆5000億円)に達する見通しだ。現地紙ジャカルタ・グローブが報じた。

 市場成長の背景には、官民からの積極的な資本投下がある。同省の幹部によると、今年は469兆7000億ルピアが港湾や鉄道、発電所などのインフラ整備に投じられるという。内訳は中央政府が208兆7000億ルピア、地方政府が103兆9000億ルピア、国営企業が89兆9000億ルピア、民間企業が67兆2000億ルピアとなっている。

 同幹部は「政府の予算には限りがあるため、これでも52兆ルピアが不足する」と述べ、不足分は官民連携事業などを通じて外国からの投資呼び込みで補うとの考えを示した。

 インドネシアの建設市場は、インフラ整備に積極的な政府方針もあって、ここ数年、年10%超の勢いで拡大が続き、現在までに企業数は11万7000社、従業者数は690万人に達した。この勢いが持続すれば、5年後の市場規模は1000兆ルピアに達するとみられている。

 成長が確実視されるなか、今後は地場企業の経営力強化が課題となる。同国内の建設会社は中小から大企業にいたるまで単純作業が中心で、専門分野に強みをもつ会社が育っていない。

 また、同国の建設業従事者のうち、何らかの資格保持者は全体の約6%の40万人にすぎないなど、人材育成も遅れている。

 同幹部は特殊技能を持つ熟練労働者や専門性の高い企業が増えることで工期の短縮など効率化が進むと指摘。高度な専門性を有する中小企業と人員が豊富な大企業がバランスよく混在することが市場にとって理想的だとの見解を示した。(シンガポール支局)

閉じる