【太陽の昇る国へ】“積極的平和”のために

2014.6.13 05:00

 □幸福実現党党首・釈量子

 --6月4、5日の両日、ロシアを除外して、ベルギーのブリュッセルで先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催されました

 最大の焦点だったウクライナ問題について、安倍晋三首相は「責任ある国家として、ロシアを国際社会の問題に関与させることが重要」として、ロシアとの対話姿勢を求めました。

 対中抑止を図るには、日本として多角的・戦略的な外交を展開すべきであり、中国包囲網の形成にはロシアとの関係強化が不可欠です。海洋進出とウクライナ情勢で、共に国際社会から糾弾されている中露の接近は、わが国の安全保障はもとより、世界の秩序維持のためにも回避しなければならず、日本として米国とロシアの仲介役となるべきです。

 また、首脳宣言では名指しこそしなかったものの、中国を念頭に「東シナ海・南シナ海での緊張を深く懸念」と表明するとともに、「力による一方的な試みに反対」と明記。中国に関する認識を欧州と共有しました。

 --4月末のオバマ大統領のアジア4カ国歴訪以降、中国の挑発行為はいっそうエスカレートしている感があります

 その通りです。5月24日に続き、6月11日には、東シナ海上空で自衛隊機に中国軍機が異常接近。先月26日には、南シナ海で中国船がベトナム船に体当たりして沈没させる事態となったほか、今月5日には、フィリピンのアキノ大統領が、スプラトリー(南沙)諸島の2カ所の海域で中国が埋め立て作業を進めていると発表しました。安倍首相は先月末には、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議に日本の首相として初めて出席。中国の暴挙に対して「強い非難の対象とならざるを得ない」と批判するとともに、中国との対立が深まるベトナムとフィリピンの対応支持を表明しましたが、膨張中国の抑止は国際社会最大の課題と言ってよいと思います。

 --こうしたなか、集団的自衛権の行使容認をめぐり、与党内や国会で議論が進められています

 集団的自衛権の行使を可能にすることは、日本が積極的にアジア太平洋地域の平和・安全に貢献するために必要です。しかし、与党協議では、いわゆる「グレーゾーン事態」への対処や国連平和維持活動(PKO)の際の「駆けつけ警護」などが先行して検討されており、本丸である集団的自衛権の議論が後回しにされてきました。集団的自衛権の行使容認には、公明党が難色を示していますが、安倍首相が目指すように、年末の日米ガイドライン改定に間に合わせるべく、早期の閣議決定、そして秋の臨時国会で関連法案成立があるべきスケジュールだと思われます。

 反対論のなかには、憲法解釈の変更が立憲主義に反するとの意見もありますが、これまでも自衛権をめぐる憲法解釈の変遷はありました。したがって、状況の変化に即応するために憲法解釈を変更することは、何ら問題ないと私たちは考えています。

 --集団的自衛権の行使容認については、「戦争への道」といった批判も見られます

 これは本末転倒の議論です。抑止力強化によって、未然に防げる戦争があることを知らなくてはなりません。集団的自衛権の行使容認により日米の連携が強まれば、抑止力が高まることは間違いありません。

 一国平和主義の下、「戦わなければ正義だ」とばかりに、アジア諸国の危機を見逃すのなら、アジアのリーダーとして失格です。自国の安泰のみをひたすら念ずるような態度は、大国としてあまりにも無責任と言わざるを得ません。宗教政党が国防強化を訴えることに疑問を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、悪を押しとどめるための抑止力整備は、宗教的にも正義にかなうと私たちは考えます。

 安倍政権はフィリピンに巡視船の供与を表明し、ベトナムにも供与を検討していますが、東南アジア諸国が日本に寄せる期待に応えるためにも、「積極的平和」に向けて日本は大きく一歩を進めるべきであり、集団的自衛権の行使容認を急がなくてはなりません。

                  ◇

【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。

閉じる