【太陽の昇る国へ】今こそ戦後体制からの脱却を

2014.7.11 05:00

 □幸福実現党党首・釈量子

 --7月1日、安倍政権は臨時閣議を開き、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を決定しました

 日本の安全保障政策は、大きな転換点を迎えることになりました。「平和の党」を標榜し、慎重姿勢を堅持してきた公明党への配慮から、自衛権発動要件が厳格化されるなど踏み込み不足の感があるのは否めませんが、かねて幸福実現党として主張してきたことでもあり、今回の判断の歴史的意義を評価するものです。現在、関連法案の国会提出に向けて作業が進められていますが、実効ある法整備を強く要望します。

 --官邸周辺では反対派のデモが行われたほか、一部メディアには「戦争に道を開く」といった報道も多く見られます

 一内閣の判断で従来の憲法解釈を大きく変更するわけですから、反対論が沸き起こるのも無理からぬところではあります。とはいえ、今にも戦争が始まるかのような物言いはあまりに行き過ぎです。自衛権は国連憲章で認められた国家の自然権であり、集団的自衛権の行使を認めることは主権国家として当然の姿なのです。

 度重なる領海侵犯や一方的な防空識別圏の設定、中国軍機による自衛隊機への異常接近など、中国の軍事的脅威がわが国に迫っていることは、誰の目にも明らかです。しかし、頼みの綱の米国は財政難から軍事費の削減を迫られ、世界の警察の役割を放棄しようとしています。こうした現実を直視せず、一国平和主義を信奉するあまりに備えを欠き、戦争を誘発するような事態を招いてはなりません。

 --今回の決定に中韓は反発しています

 先ごろ行われた中韓首脳会談でも、集団的自衛権の行使容認について憂慮を表明するとともに、慰安婦などの歴史問題への日本政府の対応を批判しました。わが国の左翼マスコミもそうですが、両国がかさにかかってくる背景には、「先の大戦で日本は侵略行為を繰り広げた犯罪国家である」とする東京裁判史観があります。

 しかし、これは日本弱体化を画策する戦勝国が広めた歴史観にすぎず、わが国は断じて侵略国家などではありません。先の大戦にはアジアの同胞を欧米列強の植民地支配から解放し、人種差別政策を打ち砕く側面があったことを見逃してはなりません。そもそも、私たちの一世代、二世代前の先人たちが、いたずらに略奪、暴行を働くような非人道的な国民性を有していたと思えますか。旧日本軍は屈指の規律を誇る軍隊だったのです。

 --かたや東南アジア諸国からは、歓迎の声が上がっています

 南シナ海では中国とベトナム、フィリピンとの間で領有権をめぐる対立が先鋭化しており、緊張が高まっています。アジア太平洋地域における米国の軍事プレゼンスの弱体化も否定できないだけに、東南アジア諸国が、日本に地域の盟主としての役割を期待するのは至極当然です。集団的自衛権の適用対象には、同盟国である米国のみならず、フィリピンやベトナムなども含まれるべきでしょう。

 国防上、他に取り組みが必要な課題として、幸福実現党は防衛予算の倍増を主張しています。私たちは小さな政府と減税路線を訴えており、防衛費拡大の原資として、経済成長による税収増を充てるべきことは論をまちません。その観点から、経済成長の足かせとなる増税には賛成しかねるものの、中国の急速な軍事拡張を前に、国家・国民を守り抜くためには、例外的に国防強化のための増税ならば、一考の余地があるかもしれません。

 ここにきて、北朝鮮が拉致問題の再調査を開始し、日本が制裁の一部を解除するなど状況が動き出しています。しかし、多くの拉致被害者をいつまでたっても救出できないでいるのも、日本外交に軍事力の裏付けがないからです。

 集団的自衛権の行使容認により日米同盟を強化し、抑止力を高めることは、わが国の安全のみならず、地域の平和と繁栄の礎となるものです。従来の憲法解釈に拘泥し、神学論争を繰り返している時間など、もはや残されてはいないのです。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。

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