中国を自由にさせぬ 日本版「海兵隊」創設着々、強襲揚陸艦で尖閣守る

2014.7.21 18:05

 「日本版海兵隊」創設に向けた動きが着々と進んでいる。小野寺五典防衛相が上陸用装備を搭載できる「強襲揚陸艦」を念頭に、離島奪還作戦で活用する新型艦艇の海上自衛隊への導入を本格検討する意向を表明した。軍事力を背景に強引な海洋進出を図り、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を狙う中国への抑止効果を狙っているのは言うまでもない。小野寺氏の発言は島嶼防衛に必要不可欠な「日本版海兵隊」創設を装備面で確実に裏付けようというものだ。(笠原健)

 「最新鋭のもの考える」

 小野寺氏は7日(日本時間8日)、米サンディエゴの海軍施設で強襲揚陸艦「マキン・アイランド」を視察後、離島奪還作戦で活用する新型艦艇の海上自衛隊への導入を本格的に検討する意向を表明した。強襲揚陸艦は空母のような全通甲板を備え、多数のヘリコプターや水陸両用車両などを搭載できる。

 小野寺氏は「このような多機能、多目的の輸送艦は大変重要だ。今回の視察を参考に、日米協力を通じて最新鋭のものを考えたい」と語った。

 「日本版海兵隊」の中核になるのが陸上自衛隊の水陸機動団だ。水陸機動団は、政府が昨年12月に策定した「防衛計画の大綱」で新設する方針が打ち出された。水陸機動団は離島防衛の専門部隊「西部方面普通科連隊」(約700人)を置く長崎県佐世保市などに配置し、3連隊を整備。新設する「陸上総隊」の直属部隊とし、計2千~3千人規模の大部隊となる。

 平成30年度までに編成完了

 政府は平成30年度までの編成完了を想定しており、水陸機動団の主要戦力「第1連隊」は西部方面普通科連隊を発展的に改組し、司令部とともに長崎県佐世保市に置く。第2、第3連隊の人員はそれぞれ700~900人とする予定だ。

 水陸機動団は米軍の海兵隊的機能を支える水陸両用車について、26年度までの2年間で6両を試験車両として配備。運用試験を行った上で、30年度までに52両を配備する。

 陸上自衛隊が策定した水陸両用車を投入する作戦構想の素案では、南西諸島の島嶼部が侵攻された場合、水陸両用車を戦闘地域の島から数キロ離れた海上から発進させ、戦闘部隊を揚陸させる。陸自は米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイも導入する予定で、同機で前線に部隊を投入することも可能になる。

 島嶼防衛の切り札

 小野寺氏が導入を本格検討するとした「強襲揚陸艦」は、水陸両用車など上陸用装備を搭載することになる。海上自衛隊は、おおすみ型輸送艦を保有しているが、海上輸送力の不足が指摘されており、島嶼部への上陸作戦は困難だとされてきた。

 小野寺氏が視察した「マキン・アイランド」はワスプ級強襲揚陸艦の8番艦だ。ワスプ級はヘリコプターを最大42機搭載可能で、飛行甲板のヘリ発着スポットは9カ所設定されている。AV-8B「ハリアー」のような固定翼機の運用も可能で、脅威度が低い海域では軽空母のような働きも期待できる。

 海兵隊の能力を大幅に向上させるオスプレイの発着もできるため、おおすみ型輸送艦よりも能力は格段に向上する。島嶼防衛の切り札となるのは間違いない。

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