波乱の大発会 東京株582円安 中国・中東リスク直撃!

2016.1.4 20:58

 今年最初の取引となる大発会を迎えた4日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅反落。昨年末の終値比582円73銭安の1万8450円98銭で取引を終えた。大発会での下落は3年連続で、終値としては平成20年(616円37銭安)に次いで過去2番目の下げ幅となった。東証1部に上場する銘柄の88%が値下がりし、一時は639円安まで値を下げた。

 また、中国・上海と深●(=土へんに川)の株式市場は4日、主要300銘柄で構成する「CSI300指数」が昨年末の終値比で7%超も急落し、取引を緊急停止する「サーキットブレーカー」を発動した。午後1時半(日本時間同2時半)過ぎに株式や転換社債などの取引を全面停止した。昨年の上海株急落を教訓に、相場の急変動に歯止めをかける措置で、同日が導入初日だった。

 中国製造業の景況感を示す指標の悪化に加え、サウジアラビアとイランの国交断絶などから、香港やシンガポール市場も下落。欧州市場も主要株価指数が軒並み下落して始まった。

 一方、東京外国為替市場では円相場が、節目の1ドル=120円を突破し、一時は約2カ月半ぶりの円高ドル安水準となる1ドル=118円91銭まで上昇した。

     ◇

 年明けの株式市場は中国の経済指標の悪化に加え、中東情勢の悪化など地政学的な不安から、波乱含みの幕開けとなった。堅調な企業業績を背景に日本株は上昇基調が続くとの見方もあるが、海外の不透明要因に揺さぶられるリスクはぬぐえない。

 日経平均株価や中国・上海株式市場が4日に大きく下落した最大の要因は、中国経済の先行きに対する警戒感だ。同日、英調査会社マークイットが発表した中国の景況感を示す昨年12月の製造業購買担当者指数(PMI)は48・2と、景気判断の分かれ目となる50を10カ月連続で下回った。同社は「断崖を転げ落ちるような景気悪化を回避するため、中国政府は対策を講じる必要がある」と厳しい認識を示した。

 中国では幅広い製造業で国内受注が落ち込み、過剰生産による在庫増が経営を圧迫するなど、実体経済は負のスパイラルから抜け出せずにいる。野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は4日、「新常態(ニューノーマル)に円滑に移行できるかどうかに注目が集まる」と、中国経済の動向に警戒感を示した。

 こうした中国経済の先行き不安に加え、昨年12月31日の米国株式市場が前日比で下落したことや、サウジアラビアとイランの国交断絶など、投資家心理の悪化要因が重なった。このため市場では、投資家がリスクを回避する動きが強まったとみられる。

 三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「リスク要因が複数重なると、平均株価が1万8千円を割り込む恐れが強まる」と指摘。その上で「原油相場や、中国をはじめとする新興国の景気、米国の経済成長と利上げペースなどには注意が必要だ」と強調した。(森田晶宏、上海=河崎真澄)

閉じる