景気指数、2カ月ぶり悪化 中国経済減速で生産低調、消費も振るわず

2016.1.8 22:40

 内閣府が8日発表した平成27年11月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が前月比1・7ポイント低下して111・6となり、2カ月ぶりに悪化した。8つの構成指標すべてがマイナスとなった。中国経済減速による企業生産の落ち込みや個人消費低迷で、日本経済の足踏み感が強まっており、政府が29年4月に予定する10%への消費税率再引き上げにも影響が出る恐れがある。

 中国の景気減速による輸出減への不安などから、鉱工業生産指数など企業の生産活動を示す指標が低調。消費意欲が盛り上がらず、薄型テレビ、携帯電話など耐久消費財の出荷も振るわなかった。内閣府は基調判断を7カ月連続で「足踏みを示している」とした。

 数カ月先の景気を示す先行指数も、0・3ポイント低下し103・9と2カ月ぶりに悪化した。「生産の回復ペースは緩慢なものにとどまる」(明治安田生命保険の山口範大エコノミスト)とみられる。こうした悲観的な見通しに加え、年明け以降、上海株式市場で株価が大幅に下落するなど中国経済の不安定感が高まる。また、中東情勢の悪化や北朝鮮の「水爆実験」など、新たな地政学リスクも加わり、市場では「消費税率10%への引き上げを延期する選択肢もありうる」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)との声も出始めた。

 安倍晋三首相は今月6日の国会で「リーマン・ショックのような重大事態が発生しない限り確実に実施する」と強調した。ただ、政府内からは、4~6月期の国内総生産(GDP)成長率などで再増税の可否を判断し、増税影響を和らげる経済対策を行うべきだとの声も出ている。

 海外経済のリスクが高まれば、外需による景気回復への期待は遠のく。甘利明経済再生担当相は「(賃上げ、設備投資拡大などを通じ)内需をしっかり拡大する」ことで、日本経済を強化するとしたが先行きは不透明だ。

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