インド、鉄道網1日7キロ整備・拡充 16年度、予算2兆円超を割り当て

2016.3.23 07:32

 インドは鉄道網の整備を加速する方針だ。同国鉄道省は2016年度(16年4月~17年3月)、1日当たり7キロの線路敷設や既存路線の整備を目指す。過去6年間の平均は同4.3キロだった。同国では鉄道の老朽化が経済成長の阻害要因ともされるなか、政府は鉄道の近代化や輸送力の強化に注力する。現地紙ビジネス・スタンダードなどが報じた。

 鉄道省によると、今後は鉄道網の整備・拡充を一段と推進するとし、17年度は1日当たり13キロ、18年度は同19キロと、整備距離を引き上げる。向こう3年で既存の国内路線3万5000キロの電化を完了させる計画だ。

 2月に発表された16年度鉄道予算案では、鉄道整備に前年度比で20%増となる1兆2100億ルピー(約2兆328億円)が割り当てられる。向こう5年で鉄道整備に総額8兆8000億ルピーを見込み、民間からの投資誘致を加速させる。

 プラブ鉄道相は、日本の新幹線方式を導入予定の西部ムンバイ-アーメダバード高速鉄道事業については、計画推進を図る事業体を設置する方針を示した。

 一方で、インドは自動車の普及や高速道路の整備などに伴い鉄道旅客数が減少している。15年度の鉄道旅客数は前年度比1.4%減の81億人とされる。また、運賃収入も伸び悩んでおり、15年度は3872億7000万ルピーで政府目標の4500億ルピーに届かない見通しだ。

 プラブ鉄道相は16年度について、鉄道網の拡充などに伴い、運賃収入を5100億ルピーと見込むほか、鉄道貨物輸送量は5000万トンを目指すとしている。さらに、駅構内での商業施設開発などを進め、運賃以外での収入を前年度の4倍に引き上げる目標を示した。

 世界最大規模の鉄道網を誇る同国は、民間投資を呼び込んで近代化を推し進め、旅客数の減少を食い止めることができるか、政府の手腕が問われているといえそうだ。(ニューデリー支局)

閉じる