首相が「法改正」の必要性に言及 増税先送りの環境整備さらに進む 

2016.4.2 22:08

 訪米中の安倍晋三首相が1日(日本時間2日)、同行記者団との懇談で、平成29年4月の消費税率10%への引き上げの再延期に関して「法改正」という具体的な手続きに言及したのは、増税先送りへの“環境整備”といえる。首相はすでに税率引き上げを先送りする方針を固めており、5月26、27両日に開催する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前後に最終決定するものとみられる。

 再延期には、消費税増税法に規定される増税施行日を変更するための法改正が必要になる。26年11月に、1年半の延期を決めた際には、翌27年の通常国会で税制関連の法改正で正式決定した。

 首相は懇談で増税可否の判断について「専門的な見地からの分析も踏まえて、政治判断で決定」とも強調した。これは首相も出席する国際金融経済分析会合で、ノーベル経済学賞受賞者の有識者らが増税先送りを求めたことが念頭にある。首相が先送りの方針を固めた背景には、個人消費が落ち込んでいることに加え、世界経済が減速傾向に陥っていることがある。増税すれば経済再生はままならないおそれがあるためだ。

 また、首相は夏の参院選に合わせた衆院解散の可能性を改めて否定。その一方で、28年度予算の前倒し執行について、米国から帰国後の閣議で具体的な方針を示す考えを示した。消費税増税の再延期に加え、早期の予算執行によって景気を下支えしようとする首相のメッセージは、衆参同日選に踏み切る可能性がさらに高まったとの見方が広がりそうだ。(峯匡孝)

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